伴雄堅魚

伴雄堅魚の生涯と囲碁の業績

伴雄堅魚（とも の おかつお）は、平安時代初期に活躍した貴族であり囲碁の棋士として知られています。彼は正五位下を持つ美濃介という官位に就いていた人物で、その生涯の中で様々な業績を残しました。

経歴の概要

伴雄堅魚は若い頃から囲碁に秀でており、延暦23年（804年）に行われた第18次の遣唐使に碁師として同行しました。彼の囲碁の腕前は高く評価され、当時の名手として一目置かれていたようです。弘仁3年（812年）には、従五位下の官位を拝命し、兵部少輔としても活躍しました。この時期、彼の昇進は順調で、弘仁5年（814年）には従五位上に昇格しています。

ただし、その後の昇進は停滞したものの、彼は美濃介としての職務を全うしていました。任期中、紀善峯の息子である夏井という若者に囲碁を教えたこともあり、夏井は僅か1～2年で伴雄堅魚をほぼ超えるほどに上達したとされています。このエピソードは、伴雄堅魚が単なる棋士ではなく、囲碁の教育者としても名を馳せていたことを示しています。

改姓とその後の活動

弘仁14年（823年）には、大伴親王の即位に伴い、避諱のために大伴氏の氏人は伴姓に改姓しました。これにより、伴雄堅魚も伴宿禰となり、新たなステージで活動を続けました。承和6年（839年）には仁明天皇に召され、囲碁の名手として知られる甥の伴須賀雄と対局に臨みました。彼の実力は石二子格下でありましたが、賭け金を設定した上で5局対局し、見事に4勝1敗を収める成果を上げました。これは彼の技術と経験が、若者たちに対しても優位性を保っていた証拠と言えるでしょう。

昇進と晩年

承和13年（846年）には、約32年振りに昇進し正五位下に叙せられました。この官位の昇進は、伴雄堅魚の長いキャリアを象徴するものであり、彼の囲碁に対する情熱や技術が如何にして高く評価されていたかを物語っています。

彼の不明瞭な情報も多く存在しますが、伴雄堅魚は囲碁を通じて多くの人々に影響を与え、教育者としての役割を担った貴族の一人として名を刻んでいます。彼のような存在は、囲碁の歴史においても非常に重要な位置を占めているのです。

参考文献

• - 森田悌『日本後紀（下）』講談社〈講談社学術文庫〉、2007年
• - 森田悌『続日本後紀』（上下巻）、講談社〈講談社学術文庫〉、2010年
• - 武田祐吉、佐藤謙三訳『読み下し 日本三代実録 上巻』戎光祥出版、2009年

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