住田町

住田町：豊かな自然と歴史が織りなす岩手県東南部

住田町は、岩手県東南部に位置する気仙郡の町です。北上高地の南部にあり、周囲を標高600～1300メートルの山々に囲まれた、自然豊かな環境が特徴です。町の面積の約90％を占める広大な森林は、豊富な木材資源をもたらし、「森林・林業日本一の町」を目指して発展を続けています。

地理と自然

住田町の地質は、古生代の堆積岩と中生代の火成岩から成り、その約80％が堆積岩で構成されています。平坦な土地は少なく、気仙川とその支流沿いに集落や農地が集中しています。気仙川は町を潤す清流で、ヤマメやイワナ、アユなどの渓流魚釣りを楽しむことができます。かつては支流の大股川に津付ダムの建設が計画されていましたが、2014年に中止が決定されました。

町の周辺には、五葉山（1351メートル）、高清水山（1013メートル）、種山ヶ原（物見山：870メートル）、生出山（684メートル）など、多くの山々が連なります。これらの山々は豊かな森林資源だけでなく、美しい景観も提供しています。

気候は、寒暖の差が大きく、気温の年較差、日較差が大きい大陸性気候です。また、降雪量が多く、豪雪地帯に指定されています。

歴史と行政

住田町は、上有住村、下有住村、世田米町の3つの地域が合併して誕生しました。地名は、これらの旧町村名から一文字ずつとって命名され、現在の地名となりました。

町は「当面合併せず自立、持続」を掲げ、独自の林業施策などを推進しています。2012年には、平成23年度地域づくり総務大臣表彰で地方自治体表彰を受賞しています。

行政機構は、町長、副町長、そして各課（総務課、企画財政課、町民生活課など）から構成されています。また、気仙広域連合、大船渡地区環境衛生組合、大船渡地区消防組合など、広域的な行政にも積極的に関わっています。

産業と経済

住田町の基幹産業は林業です。豊富な森林資源を活かした木材加工施設が整備されており、林業関連産業が町経済を支えています。

その他、農業や観光業なども行われています。2007年度の当初予算規模は、一般会計約48億6900万円、特別会計約28億0616万円でした。

教育と医療

町内には、岩手県立住田高等学校、住田町立住田中学校、住田町立世田米小学校、住田町立有住小学校などの教育機関があります。かつては複数の小学校や中学校が存在していましたが、近年は生徒数の減少に伴い統合が進んでいます。岩手県は住田高校の廃校を計画していますが、町は公立中高一貫校化による存続を要望しています。

医療機関としては、岩手県立大船渡病院附属住田地域診療センターなどの有床診療所や無床診療所、歯科診療所が複数あります。

交通

住田町は、JR釜石線の上有住駅が唯一の鉄道駅です。駅は町の中心部から離れているため、町内にはバス路線が整備されています。岩手県交通の路線バスの他、住田町コミュニティバスが運行されています。

道路網は、釜石自動車道、国道107号、国道340号、国道397号などが通っており、自動車でのアクセスも可能です。

文化と観光

住田町には、五葉山火縄銃鉄砲隊、滝観洞（天の岩戸の滝）、白蓮洞、葉山めがね橋、松日橋など、歴史や自然を感じることができる観光スポットがあります。滝観洞は、映画「八つ墓村」のロケ地としても有名です。

かつては、種山ヶ原で星空観測イベント「すたーうぉっちんぐ種山ヶ原」が開催されていましたが、現在は音楽イベント「KESEN ROCK FESTIVAL」が毎年開催されています。宮沢賢治ゆかりの種山ヶ原は、星空観察にも最適な場所です。

著名な出身者

住田町からは、歌人である佐藤霊峰氏、歌手である佐々木はるお氏、早瀬ひとみ氏、マラソン選手である佐々木七恵氏（大船渡市出身、住田高校卒）、俳優・イラストレーターである及川達郎氏など、多くの著名人が輩出されています。


住田町は、豊かな自然、歴史、そして活気ある地域社会が調和した魅力的な町です。今後ますますの発展が期待されます。

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