佐々学

佐々 學（さっさ まなぶ）

佐々學は1916年3月14日に東京・神田に生まれ、2006年4月10日に逝去した日本の寄生虫学者および衛生動物学者です。彼は東京大学名誉教授として知られ、戦後日本における公衆衛生の発展に多大な貢献をしました。特に、八丈小島でのマレー糸状虫症の研究を通じて、その業績は広く評価されています。

学歴とキャリア

第一高等学校を経て東京帝国大学医学部を卒業し、同大学の伝染病研究所で勤務を始めました。やがて、彼は海軍の軍医として東南アジアなどで過ごしながら、蚊に関する研究に従事しました。その後、彼は戦後、東京大学に復帰し、蚊やダニの研究を続け、さらにはツツガムシに焦点を当てました。1948年には第1回ロックフェラー財団留学生としてジョンズ・ホプキンズ大学へ留学しました。この時期は日本が占領下にあり、外交権を失っていたため、非常に厳しい状況での研究活動でした。

1958年には東京大学の教授に就任し、1968年には医科学研究所長に就任しましたが、1976年には同大学を退官。退官後も他の教育機関での役職を歴任し、各地で環境福祉研究所を設立するなど、多岐にわたる活動を行いました。

主要な研究活動

彼の研究は、フィラリア症やダニによるツツガムシ病など、衛生上の問題となる動物たちに関するもので、広く様々な新種の記載や地域差の解明に寄与しました。特に彼の研究によって、土佐におけるツツガムシ病の病態が解明されたことは大きな成果として評価されます。さらに、1955年に中国を訪問し、周恩来首相と会見した際に住血吸虫症についての詳しい話を交わし、これにより日本の研究者が中国へ訪問する契機となりました。

功績と顕彰

1990年には、若手研究者の支援のため日本衛生動物学会が「佐々賞」を設け、彼の業績を称えました。彼の死後、黒部市吉田科学館や富山市科学博物館で特別展示が行われ、彼の功績を後世に伝えています。2016年には彼の生誕100年を祝うことが企画され、病気を媒介する生物のコントロールに関する彼の重要性が再認識されました。

受賞歴

佐々は多くの栄誉ある賞を受賞しています。1954年の桂田賞以降、毎日出版文化賞（1960年）、日本衛生動物学会賞（1973年）、紫綬褒章（1976年）、野口英世記念医学賞（1979年）、勲二等旭日重光章（1988年）、そして武田医学賞（1990年）など、多くの受賞歴が彼の偉大な業績を物語っています。

著作と論文

彼はまた、いくつかの著書や論文も残しています。『蚊を調べる人のために』や『恙虫と恙虫病』など、彼の研究成果を広く伝えるための著作が数多く存在します。特に、彼の著書「風土病との闘い」は、風土病に関する彼の見解や経験をまとめた貴重な資料となっています。

佐々學の数々の業績は、寄生虫学や衛生動物学の分野だけでなく、公衆衛生全般においても、その礎を築く重要な役割を果たしました。彼の研究は今後も多くの研究者や学生たちに引き継がれ、さらなる進展が期待されています。

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