佐久発電所

佐久発電所の詳細

佐久発電所（さくはつでんしょ）は、群馬県渋川市北橘町分郷八崎に位置する東京電力リニューアブルパワーが運営する水力発電所です。この発電所は、利根川と吾妻川という二つの河川から水を取り入れ、発電を行っています。

発電の仕組み

発電所では、利根川からの水を沼田市岩本にある綾戸ダムから取水し、渋川市北橘町真壁に位置する真壁調整池に一度貯めます。この後、水は水圧鉄管を通ってサージタンクに導かれ、そこから3本の水圧管路によって山腹を下り、発電所へと運ばれます。

吾妻川からの水は、金井発電所や渋川発電所を経て、サイフォンを用いて利根川を横断し、水路を通って佐久発電所に供給されます。利根川の水を用いて運転される1号機から3号機はフランシス水車で発電、また吾妻川の水を使って動く4号機はプロペラ水車によって電力を生み出します。その後、発電に使用された水は広瀬桃木用水として放流され、地域の他の発電所で再利用され、最終的には広瀬川で利根川に合流します。

発電所には、高さのあるサージタンクがそびえ立っており、遠くからでも目立つランドマークとなっています。さらに、真壁貯水池から発電所へ至る水圧鉄管の周りには桜が植えられており、春には多くの花見客が訪れ、賑わいます。

歴史

佐久発電所の建設は1925年（大正14年）、浅野財閥の関東水力電気によって開始され、1928年（昭和3年）に完成しました。その後、1938年（昭和13年）には吾妻川からの水を利用しての発電も開始され、発電所の名前は創設者・浅野総一郎の妻の雅号「佐久」から命名されています。建設当時は「東洋一の発電所」とも称され、首都圏への電力供給に寄与してきました。

建設時に使用された水圧鉄管は、浅野財閥の浅野造船所が製造したもので、直径15フィート、長さ4800フィート、重さ3790トンという規模でした。佐久発電所は、関東水力電気から日本発送電、そして東京電力を経て東京電力リニューアブルパワーに属し、今も地元では略称の「関水」が佐久発電所の名称として親しまれています。

1985年から1988年には、発電施設の大規模改修が実施され、現在見られる円筒形のサージタンクは改修後に設置されたものです。2012年には、浅野総一郎の立像が富山県氷見市から寄贈され、サージタンク近くの公園に設置されました。この立像は、「九転十起の像」として交流の一環も兼ねて建立されています。

真壁ダム

発電所の水源の一つである真壁ダムは、渋川市北橘町真壁にある重力式コンクリートダムです。このダムは傾斜地に調整池を設けるために作られており、堤高は比較的低いながら、その幅の広さが特徴です。ここに貯められた水は、発電量に応じて佐久発電所へ送られます。

まとめ

佐久発電所は、利根川と吾妻川から水を取り入れ、長い歴史を持つ水力発電所です。地域の電力供給に貢献しつつ、周囲の自然と調和した美しい環境を提供しています。春には桜の花が咲き誇り、観光スポットとしても注目されています。

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