佐伯子麻呂

佐伯 子麻呂について

佐伯子麻呂（さえき の こまろ）は、飛鳥時代に活動した貴族であり、氏は佐伯部、または古麻呂とも記されています。彼の姓は連で、後に贈られた冠位は大錦上です。子麻呂はその生涯の中で重要な政治的事件に関与し、歴史に名を刻みました。

経歴の初期

皇極天皇3年（644年）、当時の実力者であった大臣・蘇我入鹿が権力を握っていました。このような情勢の中、子麻呂は中臣鎌足と協力することになります。鎌足は入鹿の排除を計画しており、子麻呂と葛城稚犬養網田が中大兄皇子（後の天智天皇）に推挙されました。

入鹿討滅への参加

皇極天皇4年（645年）6月、子麻呂は蘇我入鹿の暗殺事件に参画します。この事件は乙巳の変と呼ばれ、子麻呂は多くの緊張を抱えながらも、大極殿で暗殺に参加しました。そこで彼は海犬養勝麻呂から剣を受け取りますが、緊張のあまり食事が喉を通らず、ついには吐いてしまうという逸話が残っています。

実行時、入鹿の威勢に恐れを抱いた子麻呂は一度は行動に出るのを躊躇いますが、中大兄皇子が掛け声をかけて先に行動に移り、肝心の瞬間に子麻呂も気を取り直して行動に出ます。彼は、驚いて逃げ出そうとした入鹿の片脚に斬りつけ、その後、同じく共にいた葛城稚犬養網田と共に、皇極天皇に事態を報告したいとぐったりする入鹿にとどめを刺しました。

子麻呂はこの事件における功労によって、40町6反の封地を与えられました。

続く武功

しかし、彼の功績はこれにとどまりません。同年の11月には、中大兄皇子の命令によって、阿倍渠曽倍と共に40人の兵を率いて、入鹿の暗殺後に吉野で隠れていた古人大兄皇子を攻撃し、皇子とその子息を討ったとされています。これもまた、彼の政治的立場を固める一助となったでしょう。

晩年と評価

天智天皇5年（666年）3月、子麻呂が病気にかかった際、中大兄皇子が見舞いに訪れ、その功績を讃えたと伝えられています。残念ながら、その後間もなく子麻呂はこの世を去ったと考えられています。没後は大錦上の冠位を贈られました。

封地に関する評価

天平宝字元年（757年）には、過去の封地に対する田令が定められる際に、子麻呂の戦功は他人の指導によって戦った功績として位置づけられました。このため、彼が相続できる封地は「大功」ではなく「上功」とされ、それが彼の血筋にわたって連綿と受け継がれることが定められました。

子麻呂の生涯は、飛鳥時代における権力争いの中心にいたことを証明しており、彼の功績と影響は今なお歴史に語り継がれています。

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