本佐倉城

本佐倉城

本佐倉城は、千葉県佐倉市大佐倉と印旛郡酒々井町本佐倉にまたがる将門山に築かれた日本の城です。室町時代後期に千葉氏の拠点となり、その歴史は戦国時代を経て江戸時代初期まで続きました。現在では、その遺構が国の史跡として保存されており、当時の姿を偲ぶことができます。

歴史

本佐倉城の歴史は、室町時代後期にまで遡ります。当時、千葉氏の宗家を倒して家督を奪った馬加氏がいましたが、将軍足利義政の命を受けた東常縁によって討伐されました。その後、千葉氏の血を引く千葉輔胤が、古河公方足利成氏と結び、下総国を平定して宗家の地位を確立しました。この時、輔胤は従来の亥鼻城よりも内陸に位置する本佐倉に城を築き、本拠地を移したとされています。

黒田基樹の研究によると、佐倉の地がそれまで軍事拠点として登場していなかったこと、また輔胤が岩橋氏の出身である可能性を指摘し、佐倉が元々岩橋氏の勢力圏であったという見方を提示しています。輔胤は平山城を本拠としていましたが、足利成氏が上杉氏と和睦したことで、両勢力の侵攻を受けて一時的に勢力を縮小させていた時期に本佐倉城が築城されたと考えられています。

具体的な築城時期については、文明11年（1479年）に太田道灌が千葉輔胤を攻めた際、輔胤が臼井城に籠城したことから、この時点ではまだ本佐倉城は完成していなかったと推定されています。しかし、『千学集』には文明16年（1484年）に千葉孝胤（輔胤の嫡男）が佐倉に城を移したと記録されており、延徳2年（1490年）には佐倉の市立、町立が実施されたことから、この時期に本佐倉城が本拠地としての整備が本格化したと考えられています。

その後、本佐倉城は9代にわたって千葉氏宗家の本拠地として機能しましたが、天正18年（1590年）に千葉氏が小田原征伐後に改易されると、徳川氏に接収され、一時的に破却されました。その後、城下には陣屋が設置されました。

慶長7年（1602年）には松平忠輝が5万石で封じられましたが、すぐに信濃国川中島に移封されました。慶長15年（1610年）には、小笠原吉次、土井利勝が軍事上の必要から再び本佐倉城に入り、佐倉藩の藩庁が置かれましたが、元和元年（1615年）に藩庁が佐倉城に移され、一国一城制により廃城となりました。なお、本佐倉の城下町は、酒々井宿に移設され、成田街道の宿場町として発展しました。

城の構造

本佐倉城は、内郭と外郭に分かれた構造をしており、内郭は、南方に谷が刻まれた半島状の丘陵上に位置しています。往時は三方を湿地帯で囲まれた要害であり、守りの堅固な場所でした。一方、外郭は内郭から繋がる丘陵上に広がり、自然地形と空堀によって区画されています。外郭は千葉氏の勢力が拡大した後に、家臣団の屋敷地として整備されたと考えられています。

史跡指定

現在でも、本佐倉城には土塁や空堀などの遺構がほぼ完全な形で残されており、1998年（平成10年）には「本佐倉城跡」として、千葉県内の城郭としては初めて国の史跡に指定されました。千葉県内では、他に稲村城と岡本城が国の史跡に指定されています。

まとめ

本佐倉城は、中世から近世にかけて千葉氏の拠点として重要な役割を果たした城であり、その遺構は現在も国の史跡として大切に保存されています。歴史的、文化的価値が高く、日本の城郭史を語る上で欠かせない史跡の一つと言えるでしょう。

関連情報

関連図書: 『歴史群像No64下総･本佐倉城』学習研究社、2004年
関連項目:
日本の城一覧
関東の史跡一覧
根小屋城
外部リンク:
国指定文化財等データベース（文化庁）
本佐倉城跡（市民が選んだ佐倉の景観）（佐倉市公式Webサイト）
Q&A;本佐倉城跡について知りたいが？（酒々井町公式Webサイト）
まちネット佐倉：本佐倉城（まちづくり支援ネットワーク佐倉公式Webサイト）

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