千葉寺

千葉寺（せんようじ）

千葉寺は、千葉市中央区にある真言宗豊山派の寺院です。山号は海上山で、本尊は十一面観世音菩薩です。坂東三十三観音霊場の第29番札所として知られています。

歴史

寺伝によると、709年（和銅2年）に行基がこの地を訪れ、十一面観音を安置したのが始まりとされています。その後、聖武天皇の命により千葉寺と称されるようになりました。1160年（永暦元年）に堂宇が焼失しましたが、千葉氏の居城である亥鼻城（千葉城）に近いことから、千葉氏の祈願所として再興しました。境内には、千葉氏の守護神の一つである龍権を祀る瀧蔵神社があります。1950年代の発掘調査では、旧寺の境内が約126メートル四方であったと推定され、奈良時代の瓦が出土しています。

現在の山門は1841年（天保12年）に再建されたもので、観音堂は1828年（文政11年）に再建されましたが、第二次世界大戦の空襲で焼失し、1976年（昭和51年）に再建されました。

文化財

千葉寺のイチョウ：千葉県指定天然記念物に指定されているイチョウの巨木です。樹齢数百年を超え、境内を象徴する存在となっています。
銅梅竹透釣燈籠：重要文化財に指定されています。1550年（天文19年）の銘があり、もともと千葉寺の愛染堂にあったものと考えられています。明治時代に竹薮から発掘され、現在は東京国立博物館に所蔵されています。

千葉笑い

千葉寺では、江戸時代から「千葉笑い」という奇習が行われていました。これは、大晦日の深夜から元日の未明にかけて、仮装した人々が集まり、権力者の不正や人々の良くない行いなどを罵り合い、笑って年を越すという風習です。この風習は、徳川家康が「声の目安箱」として黙認していたとも言われています。小林一茶や岡本綺堂もこの風習を題材に作品を創作しています。

近年、千葉笑い復興会・千葉笑い実行委員会によってこの伝統文化が継承され、笑い納めや初笑いとして再び行われるようになっています。

アクセス

鉄道：京成千原線 千葉寺駅から徒歩約10分。
バス：千葉駅から千葉中央バスまたは小湊鉄道バスに乗り、千葉寺バス停下車。

坂東三十三観音霊場

前後の札所：28番 龍正院 - 29番 千葉寺 - 30番 高蔵寺（木更津市）

参考文献

『千葉大百科事典』千葉日報社、1982年
『全国寺院名鑑　北海道・東北・関東篇』史学センター、1976年

関連項目

千葉氏
亥鼻城
千葉神社

外部リンク

* 坂東札所霊場会

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