佐竹義明 (北家)

佐竹義明は、佐竹氏の一門である佐竹北家の九代目当主として、また角館の二代目所預として知られています。寛永20年（1643年）に佐竹義隣の長男として誕生しました。

寛文4年（1664年）、義明は右大臣三条西実条の孫娘と結婚しました。この結婚に際し、姫の母は娘が寂しくないようにと、嫁入り道具とともに京都の枝垂桜の苗木を3本持たせました。この枝垂桜は、その後、家臣たちの屋敷などにも植えられ、角館の町に広がり、現在では武家屋敷などで美しい花を咲かせる名所となっています。この桜は、義明の時代から角館の風景を彩る重要な要素の一つとなりました。

天和元年（1681年）には、父である義隣の隠居に伴い家督を相続し、角館城代となりました。義明は、角館の発展に尽力し、その治世下で町は安定し、文化も花開きました。貞享4年（1687年）には、東山天皇の即位式を祝う祝賀使として、嫡男である義命と共に上洛し、御所に参内しました。このことは、義明が藩主としてだけでなく、公家との繋がりも深く、朝廷にもその名を知られていたことを示しています。

元禄12年（1699年）1月16日、佐竹義明は57歳で亡くなりました。彼の死後、家督は嫡男である義命が相続しました。義明の治世は、角館の歴史において重要な時代であり、彼の残した功績は今日まで語り継がれています。特に、彼がもたらした枝垂桜は、角館の象徴として、多くの人々に愛されています。

参考資料としては、林正崇氏の著書『図説・角館城下町の歴史』（無明舎出版、1982年）が挙げられます。また、秋田県公文書館の古文書倶楽部には、「天皇即位の祝賀使者」に関する記述があり、義明の活動を知る上で参考になるでしょう。

佐竹義明は、角館の歴史と文化に深く貢献した人物であり、その足跡は今もなお、角館の町に息づいています。

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