佐竹北家

佐竹北家：佐竹氏支えた名家の一族

佐竹北家は、清和源氏を祖とする名門佐竹氏の分家です。戦国時代の常陸国太田城の北に居住したことから、その名が付けられました。佐竹氏の家臣として、そして独自の領地を治める有力者として、幾多の歴史を歩んできました。

常陸太田における活躍

佐竹北家の始まりは、常陸守護で太田城主であった佐竹義治の四男、佐竹義信が分家したことに遡ります。永正年間には既に宗家から独立し、天文年間には太田城の北に屋敷を構え、北家と呼ばれるようになりました。佐竹東家、佐竹南家とともに、佐竹氏の家政を支える重要な役割を担っていました。

佐竹氏の勢力拡大においても、北家は重要な役割を果たしました。特に常陸中南部における土豪の取り込みや、佐竹本家への情報伝達において、その存在感は大きかったと考えられます。天文8年（1539年）の宇留野義元の乱では、当主佐竹義住が部垂城で戦死するなど、激しい戦乱の時代を生き抜きました。

天文18年（1549年）頃には、他の佐竹分家よりも早く独自の領地を形成し、久米城を拠点に久慈川流域の肥沃な土地を支配しました。久慈川は水運の要衝であり、この地域の支配は、経済的にも戦略的にも重要な意味を持っていました。西には旧山入氏、北には岩城氏といった敵対勢力が存在したため、佐竹本拠地である太田城を守る上で、信頼できる北家の存在は不可欠だったと言えるでしょう。

秋田藩における転身

関ヶ原の戦い後、佐竹氏が常陸から秋田へ転封されると、佐竹北家も秋田藩の一門家臣となりました。元和7年（1621年）には当主が宗家の養子となり一時的に断絶しましたが、寛永5年（1628年）に公家高倉家出身の義隣を養子に迎えて再興を果たします。明暦2年（1656年）からは角館を領するようになり、「角館家」と呼ばれるようにもなりました。家禄は1万石でした。

明治維新と華族への叙爵

明治維新時には、18代当主佐竹義尚が戊辰戦争で官軍に属し、その功績により家名は大きく躍進しました。維新後は、他の佐竹分家（南家、東家、西家）とともに士族に列しましたが、その後、佐竹義尚の功績が認められ、明治33年（1900年）に男爵に叙せられました。これは、旧藩主一門や旧万石以上の家臣の中から選ばれた者への叙爵であり、佐竹北家の貢献が認められた証と言えるでしょう。

佐竹北家の3代男爵佐竹敬治郎の時代、邸宅は秋田県仙北郡角館町にありました。そして、21代当主佐竹敬久は、平成21年に秋田県知事に当選し、現在も秋田県の発展に貢献しています。

佐竹北家の系譜

佐竹北家は、代々佐竹氏を支え、独自の領地を築き、華族として栄えました。その歴史は、佐竹氏、ひいては日本の歴史を語る上で欠かせない重要な一端を担っています。彼らの貢献は、歴史書や系図を通して、今もなお語り継がれています。 佐竹北家の歴代当主は、佐竹義信、佐竹義住、佐竹義廉、佐竹義斯、佐竹義憲、佐竹義廉、佐竹義直、佐竹義隣、佐竹義明、佐竹義命、佐竹義拠、佐竹義邦、佐竹義躬、佐竹義文、佐竹義術、佐竹義許、佐竹義倫、佐竹義尚、佐竹義敬、佐竹敬治郎、佐竹敬久と続きます。

参考文献

華族大鑑刊行会『華族大鑑』
松田敬之『〈華族爵位〉請願人名辞典』
森岡浩『日本名門・名家大辞典』
今泉徹「佐竹北家の所領支配」『戦国史研究』

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