佐藤研

佐藤研（さとう みがく、または佐藤研眞 -けんしん、1948年7月生まれ）は、日本の著名な神学者、宗教学者であり、禅指導者（三宝禅）としても知られています。彼の専門分野は、新約聖書学、初期キリスト教史、そして禅に及び、立教大学の名誉教授として長年にわたり教鞭を執りました。

学歴と職歴

1948年、福島県に生まれた佐藤氏は、1973年に東京外国語大学外国語学部フランス語学科を卒業後、東京大学大学院人文科学研究科西洋古典学専門課程に進みました。1976年に同修士課程を修了し、博士後期課程に進学しましたが、1982年に単位取得満期退学後、スイスへ留学しました。1984年にはベルン大学神学部を卒業し、学問の幅を広げました。

1991年、佐藤氏は立教大学一般教育部人文・社会学科の助教授に就任し、教育者としてのキャリアをスタートさせました。1995年には文学部キリスト教学科に異動し、1997年には教授に昇任しました。その後、1998年にコミュニティ福祉学部教授に異動しましたが、2009年に再びキリスト教学科に戻り、2018年に定年退職し、名誉教授となりました。立教大学での長年の教育活動を通じて、多くの学生に影響を与えました。

禅との関わり

1982年、佐藤氏はフーゴ・ラッサールの紹介で禅の世界に入り、三宝禅の山田耕雲に師事しました。その後、窪田慈雲、山田凌雲に師事し、2004年からは禅指導者としての活動を始めました。2020年には嗣法し、正師家・窮雲軒佐藤研眞となりました。現在、東京、ドイツ、イスラエルで参禅指導を行っており、国際的な活動を展開しています。

所属学会

佐藤氏は、以下の学会に所属し、学術活動にも積極的に関わっています。

日本聖書学研究所（役員）
日本新約学会（理事）
日本基督教学会
日本宗教学会
日本オリエント学会
Studiorum Novi Testamenti Societas（国際新約聖書学会）
Society of Biblical Literature（米国聖書文学学会）

これらの学会での活動は、佐藤氏の学術的な貢献を裏付けるものです。

著書

佐藤氏は、多数の著書を執筆しており、その研究成果を広く社会に発信しています。主な単著には、以下のようなものがあります。

『聖書の思想とその展開』教文館 1991年
『悲劇と福音　原始キリスト教における悲劇的なるもの』清水書院 2001年、清水書院（新装版） 2016年
『聖書時代史　新約篇』岩波現代文庫 2003年
『禅キリスト教の誕生』岩波書店 2007年
『イエスの父はいつ死んだか』聖公会出版 2010年
『はじまりのキリスト教』岩波書店 2010年
『旅のパウロ』岩波書店 2012年
『最後のイエス』ぷねうま舎 2012年
『坐禅入門 禅の出帆』ぷねうま舎 2016年

また、共著としては、以下のようなものがあります。

山我哲雄『旧約新約聖書時代史』教文館 1992年、教文館（改訂版3版） 2008年
大貫隆『イエス研究史 古代から現代まで』日本基督教団出版局 1998年
滝口鉄夫『聖書の旅』小学館 2000年
月本昭男『聖書と日本人』大明堂 2000年
笠原芳光『イエスとはなにか』春秋社 2005年
鈴木範久・月本昭男・菊地伸二・西原廉太『知の礎 原典で読むキリスト教』聖公会出版 2006年
NGO「地に平和」編『聖書と現代社会 太田道子と佐藤研を囲んで』新教出版社 2006年

翻訳

佐藤氏は、海外の研究書や聖書翻訳にも積極的に関わっています。

H.ブラウン,H.コンツェルマン他『イエスの時代』教文館 1975年
ルイ・ルプランス＝ランゲ他 芦川進一共訳『イエス・キリスト 世界伝記双書』小学館 1983年
G.フリートリッヒ『イエスの死　新約聖書におけるその宣教の限界と可能性』日本基督教団出版局 1987年
H・M・愛宮=ラサール『神体験と禅 神秘的祈りへの手引き』エンデルレ書店 1987年
『マルコによる福音書・マタイによる福音書』岩波書店 1995年
荒井献共訳『ルカ文書 ルカによる福音書・使徒行伝』岩波書店 1995年
小林稔共訳『福音書』岩波書店 1996年
* 編訳『福音書共観表』岩波書店 2005年

これらの著作や翻訳活動は、佐藤氏の多岐にわたる学術的な関心と深い知識を示すものです。

まとめ

佐藤研は、新約聖書学、初期キリスト教史、禅という複数の分野で卓越した知識と経験を持つ研究者であり、教育者、そして禅指導者です。その活動は国内にとどまらず、国際的な広がりを見せており、学術界だけでなく、禅に関心を持つ人々に大きな影響を与えています。

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