余呉湖

余呉湖：穏やかな水面に映る歴史と自然

滋賀県長浜市に広がる余呉湖は、琵琶湖の北側に位置する、周囲約6.4キロ[[メートル]]、面積約1.97平方キロ[[メートル]]の湖です。琵琶湖とは賤ヶ岳によって隔てられており、最大水深は約13.5メートル、平均水深は約7.4メートルと、穏やかな水面が特徴です。古くから「伊香小江」や、その穏やかな水面から「鏡湖」とも呼ばれてきました。琵琶湖と同じく断層湖であり、約100万～200万年前に形成され、約3万年前に琵琶湖から分離したとされています。標高は約133メートルで、琵琶湖よりも約50メートル高い位置にあります。

豊かな生態系と外来種問題

余呉湖には、イワトコナマズ（余呉湖と琵琶湖にのみ生息）、ワカサギ、フナ、コイ、ウナギ、ナマズなど、多様な魚類が生息しています。冬にはワカサギ釣りを楽しむ人々でにぎわい、多くの水鳥も飛来します。しかし近年では、オオクチバスやブルーギルなどの外来魚による生態系への影響が深刻な問題となっており、年間2トン前後の捕獲駆除が行われています。その対策として、効果的な駆除方法の模索が続けられています。

歴史の舞台：賤ヶ岳の戦い

1583年4月、羽柴秀吉と柴田勝家の間で繰り広げられた賤ヶ岳の戦いは、余呉湖周辺も重要な戦場となりました。この戦いは、日本の歴史に大きな影響を与えた出来事であり、余呉湖の歴史にも深く刻まれています。

治水と開発の歴史

余呉湖は、かつては閉鎖湖でしたが、安土桃山時代には湖の氾濫防止のため、北東部に江土川（現在の高田川）が掘削されました。その後も、周辺地域の洪水対策や用水確保、湖北地方への安定的な水供給を目的とした様々な開発事業が行われてきました。具体的には、余呉川総合開発事業（1956～1959年）、琵琶湖からの揚水トンネルの建設（1964～1969年）、そして余呉湖総合開発事業（1971年～）などによって、湖周辺には国民宿舎、野外活動センター、湖岸緑地、遊歩道などが整備されました。

水質保全への取り組み

1970年代以降、赤潮の発生などの問題を受け、余呉湖の水質保全に向けた取り組みが積極的に行われています。富栄養化対策として、農業集落排水処理施設の整備、間欠式空気揚水筒の設置、深層曝気装置の設置などが実施され、湖水の循環促進や酸素供給による水質改善が図られています。

伝説と文化

余呉湖には、古くから伝わる様々な伝説が残されています。その中でも有名なのは、天女が羽衣を掛けたという羽衣伝説です。JR余呉駅近くの湖北岸には、「天女の衣掛柳」がありましたが、2017年の台風で倒壊しました。この柳は、伝説にまつわる北野神社から移植された2代目でした。他に、湖に入水した菊石姫の龍神伝説も語り継がれ、「目玉石」や「蛇の枕石」といった名所も残されています。また、歌人・源頼綱が詠んだ「衣手に余呉の浦風さえさえて己高山に雪降りにけり」という歌は、余呉湖の風情を美しく表現しています。

アクセス

余呉湖へは、JR北陸本線余呉駅から徒歩5分、または北陸自動車道木之本ICから車で10分の場所に位置しています。美しい自然と歴史に彩られた余呉湖を訪れて、その魅力を体感してみてはいかがでしょうか。

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