余呉町

滋賀県旧余呉町：豪雪と余呉湖の町、その歴史と文化

かつて滋賀県最北端に位置した余呉町は、2010年1月1日、東浅井郡・伊香郡の5町とともに長浜市に編入されました。南北に細長く延びるこの町は、南に余呉湖、北に険しい山々という、対照的な自然環境に恵まれていました。余呉湖と琵琶湖の間には賤ヶ岳がそびえ立ち、南隣の木之本町との境界を形成していました。北側地域は、余呉川が流れ、国道沿いは山深い峡谷地帯が広がっています。

豪雪と自然環境

余呉町は、日本有数の豪雪地帯として知られています。近畿地方で唯一の特別豪雪地帯に指定されており（長浜市編入後も旧余呉町として指定継続）、特に町内北部の旧片岡村・丹生村地区では、多量の降雪が記録されています。1981年の五六豪雪時には、中河内で6m55cmの積雪を記録したと伝えられています。1936年には、尾羽梨で7m30cm、中河内で7m20cmという記録（非公式）も残っています。記録的な積雪は、人々の生活に大きな影響を与え、厳しい自然環境の中で暮らす人々の生活を物語っています。この地で暮らす人々は、厳しい自然環境の中で、独自の生活様式を築き上げてきました。

放射性廃棄物処分場誘致問題

2006年、当時の畑野佐久郎町長は、町内に放射性廃棄物最終処分場の誘致を検討する方針を表明しました。しかし、この計画は町民から強い反発を受け、嘉田由紀子滋賀県知事も水源の安定性への懸念を表明しました。同年12月、畑野町長は誘致断念を表明し、この問題は終息しました。この出来事は、地域住民の強い意思と、自然環境保全の重要性を改めて浮き彫りにしました。

歴史と行政

余呉町の歴史は古く、1889年の町村制施行により、坂口村、下余呉村、中之郷村、川並村、八戸村の5ヶ村が合併して余呉村が誕生しました。1954年には、片岡村と丹生村が合併し、改めて余呉村となりました。そして、1971年に町制を施行して余呉町となり、2010年に長浜市に編入されるまで、独自の自治体として発展を続けました。

交通と教育

交通面では、JR西日本北陸本線余呉駅が町の玄関口となっています。かつては国鉄柳ヶ瀬線が運行されていましたが、1964年に廃止されました。現在は余呉バスによるコミュニティバスが運行され、地域住民の足として活躍しています。教育面では、2018年に長浜市立余呉小中学校が開校し、旧来の小学校と中学校は閉校しました。

文化と観光

余呉町には、余呉湖にまつわる羽衣伝説や、賤ヶ岳古戦場など、歴史的な史跡が多く残されています。また、菅山寺、洞寿院、全長寺などの寺院や、意波閇神社、乎彌神社などの神社も存在し、豊かな文化を伝えています。ウッディパル余呉などのスキー場や、余呉高原リゾート・ヤップなどの観光施設もあり、自然豊かな環境を活かした観光も盛んです。

まとめ

旧余呉町は、豪雪と余呉湖という対照的な自然環境、そして歴史と文化が織りなす魅力的な地域でした。放射性廃棄物処分場誘致問題や、長浜市との合併など、様々な出来事を経て、現在は長浜市の一部として新たな歴史を刻んでいます。しかし、その歴史、文化、自然は、人々の記憶の中に、そして長浜市の歴史の中にしっかりと刻まれています。

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