佛木寺

佛木寺の魅力と歴史

佛木寺（ぶつもくじ）は、愛媛県宇和島市に位置し、真言宗御室派に属する由緒ある寺院です。この寺は一か山にあり、毘盧舎那院（びるしゃないん）とも称されています。特に、寺の本尊である大日如来は、信仰の中心として多くの人々に崇められています。また、四国八十八箇所の第四十二番札所としても名高いです。

本尊の真言は「おん あびらうんけん ばざらだどばん」であり、この唱えによって信者は心を清め、仏の教えを深く理解することを目指します。また、この寺院には独自のご詠歌があり、そこには「草も木も仏になれる仏木寺　なお頼もしき鬼畜人天（きちくにんてん）」と、仏教の教えが込められています。そのため、訪れる人々に深い教訓を与えてくれます。

アクセスと周辺の環境

佛木寺へアクセスするためには、周囲の地形を考慮する必要があります。寺の近くには歯長峠が控えており、峠越えの標高は約480メートルに及びます。トンネルを利用する方法もありますが、それでも394メートルの標高を超えなければなりません。しかし、近年、高速道路の整備により、車でのアクセスが格段に向上し、20分ほどで次の札所へ移動できるようになりました。

また、県道沿いには地元住民や学校の生徒たちが手塩にかけて育てる花々が咲き誇っており、春のチューリップ、夏のポーチュラカ、秋のコスモスが道中を彩り、訪れる者に和やかな気持ちをもたらしています。

歴史的背景

佛木寺の歴史は、平安時代にさかのぼります。大同2年（807年）、空海（弘法大師）がこの地に来た際、牛を引く老人に導かれ、牛の背に乗って進んだとされています。彼は唐から帰国する際、運命的な地を求めて投げた宝珠が楠の大樹にかかっているのを発見し、ここが霊地であると認識しました。その後、楠の木で大日如来を刻んで堂宇を建立し、寺を開創しました。この経緯から、佛木寺は家畜を守護する寺院としても知られています。

鎌倉時代には、宇和島の領主伊予西園寺氏の菩提寺として栄えました。ここに安置されている弘法大師像は、正和4年（1315年）に開眼されたもので、日本最古の銘の入ったものとされています。現在の本堂は、享保13年（1728年）に吉田藩主伊達村賢によって建てられました。

毎年4月19日には当寺の縁日があり、本尊の大師像が特別に開帳されます。歴史を感じさせるこの日には、多くの信者や参拝客が訪れます。

境内の見どころ

佛木寺の境内には多くの見どころがあります。まず、山門（仁王門）は、入母屋造の楼門で、2011年に新たに建て替えられました。これにより境内の雰囲気が一層引き立っています。

本堂では、正月三が日には本尊がライトアップされ、ご来訪者に特別な景観を提供します。大師堂には、古い弘法大師像が安置されており、文化財としても県に登録されています。また、鐘楼堂は元禄時代に建てられた茅葺の建物で、2014年に新たに葺き替えられました。

さらに、不動堂では護摩焚が行われ、参拝者には精神的な安らぎをもたらしています。境内には多くの祠（ほこら）があり、牛馬や家畜を守る家畜堂や、約600年前の平家の落人を祀る慰霊堂などが含まれています。

また、境内の石仏には観世音菩薩像や六地蔵像、大日如来像、七福神像などがあり、それぞれに深い信仰の対象とされています。

文化財と交通アクセス

佛木寺は、国の史跡や県指定の有形文化財としても認識されています。特に、愛媛県で指定された大日如来像や弘法大師像は、地方作風を反映した重要な文化財です。

交通アクセスは、JR四国の予土線・務田駅から徒歩約3.5キロメートル、または宇和島バス「仏木寺」バス停から徒歩すぐとなっています。車では県道31号を利用し、信仰の道を辿りながら訪れることができます。

佛木寺は、歴史的背景と自然の美しさが共存し、信仰の場とされている素晴らしい寺院です。訪れることで、心の安らぎと共に深い学びを得ることができるでしょう。

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