保安器

保安器について

保安器（ほあんき）は、電源線や通信線に接続されている装置で、落雷やサージなどの異常な電圧や電流から機器を保護する役割を果たします。これらの異常電圧や電流は、自然災害や設備のトラブルなどによって引き起こされることがあり、それに対処するために保安器が設置されます。

概要

通信・電力の伝送においては、時として異常な電圧や電流が回線に加わることがあります。これには落雷や風災害による電力線との接触が原因となります。保安器は、通常の通信に必要な電流や電圧は通しつつ、異常な状態が発生したときにその異常な電流を接地線に流し込むことで、機器を守ります。

この保安器には種類があり、中には異常が発生した際に線路を絶縁したり高抵抗にする機能を持つものも存在します。これにより、電話機や端末機器がダメージを受けることを防ぎます。ただし、保安器を正しく接地することが重要で、接地が不適切だと、機器の焼損などの重大な事故につながる可能性があります。

サージ防護とパソコン類

保安器は基本的にサージ防護機器とされ、ISDNやADSLといった新しい通信方式の導入により、アナログ電話機用の簡素なものだけでなく、耐性が低いパソコンやネットワーク機器の接続も増えました。このため、加入者保安器だけでは不十分なケースが多く、PNPN型のサージ防護サイリスタや高性能の避雷管を使用した追加対策が推奨されています。

有線通信用保安器

有線の通信に使用される保安器は、信号線と接地線の間に、三極避雷管やバリスタ、アバランシェダイオード、PNPNサイリスタ等を組み合わせて設置します。さらに、信号線に対して過電流を遮断するための素子、例えば抵抗やヒューズを導入することも考慮されます。

加入者保安器の設置と型式

加入者保安器は、電話回線を家庭内やオフィスに引き込む際、外部から引き込んだ屋外線と、内部の電話機や端末と接続する屋内線の間に設置されます。一戸建ての場合、外壁の屋根の下に灰色やベージュ色のポリエチレン容器に入った保安器が取り付けられ、集合住宅では、MDFと呼ばれる主配線盤にまとめられて設置されます。

保安器の型式は、以前の円筒形や四角い形状から、現在では利用しやすさを考えたものへと進化してきています。特に、限られた空間に複数の回線を収容する必要がある場合、省スペース型の新しい保安器も注目されています。

電的特長と進展

1973年には4号型加入者保安器が導入され、炭素避雷器とヒューズの組み合わせが採用されました。その後、1983年には5号型が登場し、3極避雷管と感熱ブレーカが組み合わされました。現行の6号形保安器は、PTCサーミスタとアレスタを組み合わせた保護回路を特徴としており、技術の進化を反映しています。

データ通信とアンテナ用の保安器

今日では、RS422やRS485用の通信線用保安器がも普及しており、無線局のアンテナ用にも保安器が使われ、雷の影響から無線設備を守る役割があります。特に、無線局では耐雷設計を含めた総合的な対策の必要性が高まってきています。

結論

全体として、保安器は現代の通信・電力環境において不可欠な存在であり、機器を保護する役割を果たしています。新たな技術の導入に伴い、保安器も進化し続け、多様な機器の保護ニーズに対応しています。

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