保安局 (イギリス)

保安局（MI5）の概要

保安局はイギリスにおける国内治安の維持を専門に行う情報機関であり、一般的にはMI5という略称で呼ばれています。この機関は、イングランドのロンドンにあるシティ・オブ・ウェストミンスターのミルバンク11番地に本部を構えています。保安局は内務大臣の下に位置しますが、内務省とは組織的に区別されており、テロリストやスパイの逮捕はロンドン警視庁が主に行っています。

日本においては、保安局に類似した機関として公安調査庁が挙げられます。また、MI5とは異なり、国外の情報収集に特化したのがMI6、つまり秘密情報部です。

組織構成

保安局は複数の部門に分かれており、主な部門には以下のようなものがあります。
1. 人事、教育、法務、財務部門: 組織の運営に関わる管理部門。
2. 国際テロ対策部門: 国際的なテロリズムの防止と対策を行う。
3. 国家安全保障部門: 国の安全を脅かすリスクを分析。
4. IRA対策、国内テロ対策部門: 特にアイルランド共和軍（IRA）に対する取り組みを行う。
5. 情報及び技術部門: 科学技術を駆使した情報収集を担当。

また、保安局はドイツ、アメリカ、キプロスに連絡幹部を配置しており、国際的な情報ネットワークを確立しています。

歴史的背景

1909年に、当時の戦争省の外局として秘密業務局が設立されることが、保安局の始まりです。この組織は国内向けと外国向けの情報業務を兼ねており、最初は秘密情報部（MI6）と共存していました。1914年には第一次世界大戦の影響で戦争省の作戦部に統合され、1916年に軍事情報総局に移管されます。この頃に、第5課として知られる存在となり、後にMI5という名称が定着しました。

その後、1929年には国防保安局、1931年には保安局へと名称が変更されました。これらの変遷を経て、2009年には創設100年を迎え、公認の歴史書も出版されました。

テロ対策の取り組み

保安局の活動の中で特に重要なのがテロ対策です。かつてはIRAに対する活動はスコットランドヤードが主に担当していましたが、冷戦の終結とともにMI5が中心となる役割を担うようになりました。1992年には、IRA対策専属の部門が新たに設立され、以降その重要性が増していきました。

さらに、2003年には国際テロの脅威を評価するために、統合テロリズム分析センター（JTAC）が設立されました。JTACは、国内外の情報機関と密接に連携し、テロ活動への総合的な対策を講じています。

フィクションでの登場

保安局及びMI5は、数多くのテレビドラマや映画に登場します。例えば、テレビドラマ『MI-5 英国機密諜報部』や『刑事フォイル』などがあり、ゲーム『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア3』でもその活動が描かれています。映画『オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体-』でもその存在が取り上げられており、フィクションの中での役割も大きいです。

このように保安局（MI5）は、イギリスの治安を守るために、情報収集や分析、テロ対策を行う重要な役割を果たし続けています。

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