保安幹部訓練大隊

保安幹部訓練大隊の歴史と役割

保安幹部訓練大隊は、北朝鮮の防衛機関として、連合軍軍政期に設立されました。この組織は最初に設立された治安維持のための「保安隊」から発展し、その後「人民集団軍」そして最終的に「朝鮮人民軍」へと改組されました。1945年には既に北朝鮮地域で保安隊が成立していましたが、その活動が不十分であったため、1946年1月11日には「鉄道保安隊」が新設されました。この隊は、鉄道輸送に関わる安全を確保するために設けられたもので、後の大隊への発展に寄与しました。

1946年8月15日、解放1周年を迎えた際に、鉄道保安隊は「保安幹部訓練大隊」へと改組され、その重要性を増しました。この改組に伴い、士官学校として「中央保安幹部学校」や「平壌学院」が設置され、幹部の養成が進められました。また、同年9月にはソ連からの軍事顧問団が到着し、将校の訓練および正規軍の編成を支援しました。

大隊の組織は大隊本部、警衛隊、平壌学院、航空学校、さらには3つの訓練所から構成されていました。これにより、大隊は多様な役割を担い、多くの幹部が育成されました。指揮系統には金日成派のメンバーが多く含まれており、特に司令官には崔庸健が就任しています。

幹部構成

保安幹部訓練大隊の幹部には、以下のような人物が名を連ねています。

• - 司令官：崔庸健（満州派）
• - 副司令官兼文化副司令官：金一（満州派）
• - 砲兵副司令官：武亭（延安派）
• - 後方副司令官：崔弘極（ソ連派）
• - 総参謀長：安吉（満州派）
• - 作戦部長：柳新（延安派）
• - 幹部部長：趙勲（延安派）
• - 通信部長：朴英順（満州派）
• - 通信副部長：李青松（ソ連派）
• - 工兵部長：黄虎林（ソ連派）
• - 工兵副部長：朴吉南（ソ連派）
• - 偵察部長：崔遠（ソ連派）
• - 政治保衛部長：朴應翼（国内共産主義者）
• - 総司令部顧問：イヴァン・スミルノフ少将（ソ連）

このように、多様な派閥からの人物が集まり、組織は多角的な視点を持つこととなりました。特にソ連派や延安派の幹部も多く存在し、これが北朝鮮の政治・軍事的背景に繋がっています。

参考文献

保安幹部訓練大隊に関する資料や研究は多岐にわたります。以下は、関連する著作です：

• - 塚本勝一著『北朝鮮 軍と政治』原書房、2000年
• - 赤木完爾著『朝鮮戦争 休戦50周年の検証・半島の内と外から』慶應義塾大学出版会、2003年
• - 김선호(2017)「북한 보안간부훈련대대부의 간부구성과 당・군의 정치연합체제 출현」歴史問題研究 第38号

これらの資料は、北朝鮮の軍事・政治の変遷を理解する上で貴重な情報源となります。

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