保阪嘉内

保阪嘉内（ほさか かない）

概要

保阪嘉内は、1896年10月18日に山梨県北巨摩郡駒井村（現在の韮崎市）で生まれました。彼は1937年2月8日に亡くなり、日本の詩人としての名声を飾ることになります。特に、彼は宮沢賢治の親友として広く知られ、賢治の名作『銀河鉄道の夜』におけるカムパネルラのモデルとされてもいます。

経歴

山梨県で育った嘉内は、韮崎高等小学校を経て、1910年に山梨県立甲府中学校に進学しました。在学中、彼は文芸同人誌に短歌を発表するなど、詩作の道を歩み始めます。その頃、ハレー彗星の最接近を観察し、スケッチを残したことが後の展示資料として注目されることになります。

1915年に甲府中学を卒業した後、東北帝国大学札幌農科大学を受験しますが不合格となり、盛岡高等農林学校に進学します。そこで賢治と同室となり、文学に多大な影響を与え合ったといわれています。嘉内は賢治の影響を受けて、フィールドトリップに参加したりするなど、理系的な視点から自然を詠み込んだ詩作に精進します。彼の短歌「秩父始原層 其他」は特に地質に焦点を当てており、自然科学知識を活かした作品と評価されています。

しかし、1918年、彼は文芸同人誌『アザリア』に寄稿した作品が問題視され、退学処分を受けます。賢治は彼の再考を求めるも叶わず、彼は退学を余儀なくされます。

その後、彼は東京へ移り、明治大学に入学しましたが、母の死を機に山梨に戻り、農業の道に進みます。また、彼は近衛輜重兵大隊に志願兵として入隊、除隊後も様々な職に就きます。

文芸活動

嘉内は山梨日日新聞に文芸記者として勤務し、短歌を投稿し続けました。彼はまた、同窓との交流を忘れずに続け、賢治や他の友人たちとの関係も維持していました。1928年には歌集を出版する予定でしたが、原稿を火災で失い、その夢は立ち消えとなります。しかし、彼は農業を続けつつ、青年教育にも力を入れ始めます。1926年には文部省が開設した青年訓練所に関わり、青年教育に情熱を持つようになります。

1930年に中尉に昇進し、農業関連の活動を進める中で、理想の「花園農村」の実現を目指して上京する決意を固めます。その後は日本青年協会の講師を務め、農業指導に携わることになります。しかし、1934年には盛岡高等農林学校の除名処分により退職せざるを得なくなります。引き続き農業家を支援する事業を模索しますが、胃癌を発症し、最期は故郷で療養に専念します。

没後の評価

嘉内の死後、彼の書簡は遺族によって保管され、1968年に友人賢治との書簡が研究書として発表されると、彼の存在が再評価されることになります。1992年には、小惑星14447が彼の名前にちなんで「Hosakakanai」と命名されるなど、天文学における足跡を残しました。また、彼の生誕110周年には記念の行事も行われ、アザリア記念会が設立されました。現代においても、嘉内の文学や思想は、多くの人々に影響を与え続けています。彼の理想であった「花園農村」に関する詩が現在も評価され、地域活性化への願いは多くの人に共有されています。

「花園農村」の碑文には彼の願いが込められており、自然と共生する理想の農村像を追い求める姿勢は、今なお多くの人々の共感を呼んでいます。

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