信夫隆司

信夫 隆司

信夫 隆司（しのぶ たかし）氏は、1953年に山形県山形市に生まれた日本の政治学者です。現在は日本大学法学部において教授の職にあり、国際政治学および地球環境問題を中心とした研究活動を展開しています。

経歴

信夫氏の学術的な歩みは、1975年に日本大学法学部法律学科を卒業したことから始まります。引き続き同大学の法学研究科で学び、1977年に修士課程を修了しました。その後、さらに見識を深めるため、アメリカ合衆国に渡り、ポートランド州立大学大学院で学び、1981年に同大学院の修士課程を修了しています。国内に戻った後、学術の道を歩み始め、日本大学法学部で助手を務めました。次に教育の場を移し、武蔵野短期大学国際教養学科にて助教授として教鞭を執りました。その後、岩手県立大学総合政策学部で教授を務めるなど、多様な教育機関での経験を積んでいます。そして、2005年からは母校である日本大学の法学部教授として、現在に至るまで教育と研究に貢献しています。

研究活動と業績

信夫氏の専門分野は国際政治学と地球環境問題ですが、特に日本の外交史における重要課題、例えば日米間の密約や米軍基地問題に関する深い研究で知られています。これらのテーマは、沖縄返還や日米繊維交渉といった歴史的な出来事における「密使外交」の実態を丹念に検証した成果として結実しており、2010年には「若泉敬と日米繊維交渉」と題した研究論文で東海大学から政治学の博士号を取得しました。この研究は、その後の著作活動にも繋がっています。

研究者としての功績は学界でも高く評価されており、2020年には日本政治法律学会より現代政治学会賞を授与されています。

主な著作

信夫氏は、自身の研究成果を数多くの著作として発表しています。以下にその一部を示します。

単著

『国際政治理論の系譜―ウォルツ、コヘイン、ウェントを中心として』(SBC学術文庫)（信山社、2004年）: 主要な国際政治理論の流れを解説。
『若泉敬と日米密約-沖縄返還と繊維交渉をめぐる密使外交』（日本評論社、2012年）: 博士論文を基にした、日米間の密約外交に関する詳細な研究。
『米軍基地権と日米密約　奄美・小笠原・沖縄返還を通して』岩波書店、2019年）: 米軍基地の権利問題と関連する日米密約の歴史的経緯を分析。

編著

『環境と開発の国際政治』（南窓社、1999年）: 地球環境問題を国際政治の視点から捉えた論文集。
『地球環境レジームの形成と発展』（国際書院、2000年）: 国際的な環境協力枠組みの形成と進化について論じる。
『国際関係論』 (Next教科書シリーズ) 佐渡友哲共編（弘文堂、2013年）: 国際関係論の入門的な教科書。

訳書

海外の重要な研究書も積極的に翻訳し、日本の学界に紹介しています。

ダヴ・ローネン著『自決とは何か――ナショナリズムからエスニック紛争へ』（刀水書房、1988年）
ジョージ・モデルスキー著『世界システムの動態――世界政治の長期サイクル』（晃洋書房、1991年）
ガレス・ポーター、ジャネット・W・ブラウン著『地球環境政治――地球環境問題の国際政治学』（国際書院、1993年）
ピーター・H・サンド著『地球環境管理の教訓』（国際書院、1994年）

これらの著作や翻訳を通じて、信夫氏は国際政治学、特に日本の外交史や環境問題研究において重要な貢献を行っています。現在の日本大学における教育・研究活動も、これらの長年の研究成果に基づいています。

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