信時潔

信時 潔（のぶとき きよし）

信時潔は1887年12月29日に大阪市で生まれ、1965年8月1日に亡くなった日本の作曲家、音楽学者、チェロ奏者です。彼は大正・昭和時代における日本の音楽界で重要な人物であり、特に合唱曲や歌曲、多数の校歌などを手掛けました。信時は元牧師の父のもとで育ち、早くから音楽に親しみました。

略歴

信時は大阪市北区中之島に生まれ、賛美歌に囲まれた幼少期を過ごしました。大阪の市岡中学校を卒業後、東京音楽学校でチェロの修行を始め、後に作曲の道へ進みました。彼は天才的な才能を持ち、アウグスト・ユンケルやハインリヒ・ヴェルクマイスターなどの著名な音楽家に師事しました。東京音楽学校では助教授を務め、後に教授に昇進しました。さらにドイツ留学の後、彼の教育的な影響は形になり、東京音楽学校の本科作曲部の創設に尽力しました。彼の弟子には著名な作曲家たちが多数含まれています。

信時は主要な作品として、交声曲『海道東征』、歌曲集『沙羅』、国民唱歌『海ゆかば』、ピアノ組曲『木の葉集』、合唱曲『紀の国の歌』、『鎮魂頌』などを挙げることができます。特に歌曲『沙羅』は高い評価を得ており、多くの合唱曲が現在でも演奏されています。また、戦前・戦後を通じて学校教育や音楽教育のための教材の編纂にも力を入れていました。

音楽スタイルと影響

信時の音楽スタイルは、ドイツ古典派やロマン派の影響を色濃く受けた、簡素で重厚なものです。彼はシェーンベルクやバルトークといった現代音楽の知識も豊富でしたが、実際の作曲活動では、より伝統的なスタイルを追求しました。特に、彼の作品は、心温まるメロディと和声の美しさで知られ、多くの人々に親しまれています。

戦後の活動

太平洋戦争後、信時は国民歌謡を多数発表しましたが、彼の作品数は徐々に減少しました。特に『海ゆかば』が軍国主義に利用されたことを恥じたためとも言われています。彼は、同時代の作曲家山田耕筰とは異なる姿勢で戦後を迎え、作品選びに慎重でした。

年譜

信時の人生は多くの出来事に彩られています。1887年に生まれ、青年期に東京音楽学校での学びを経て、数々の楽曲を創作。戦前は活発に活動し、多くの名作を残しましたが、戦後は作品発表が減少。1965年に77歳で息を引き取りました。彼の音楽は生涯にわたり、1000曲以上に及ぶとされています。

おわりに

信時潔の音楽は、現在でも多くの日本人に愛されています。彼の作品は美しい旋律と深い感情を持ち、今の時代にもその価値を失うことはありません。信時の音楽は、今後も未来の世代に引き継がれていくことでしょう。

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