アウグスト・ユンケル

アウグスト・ユンケル（August Junker、1868年1月27日または1870年1月21日または1870年1月27日 - 1944年1月5日）は、ドイツ出身のヴァイオリニスト、指揮者です。彼は、ドイツ、アメリカ合衆国、そして日本で音楽家として活躍しました。特に、日本においては東京音楽学校の教師として、多くの音楽家を育成したことで知られています。

生涯

ユンケルは、ケルン音楽院で名ヴァイオリニストのヨーゼフ・ヨアヒムに師事し、ヴァイオリンの腕を磨きました。1890年には、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団に入団し、後にコンサートマスターに昇格するなど、その才能を発揮しました。その後、1891年から1897年までアメリカに渡り、シカゴ交響楽団などでヴァイオリン奏者として活動しました。

1899年、ユンケルは来日し、東京音楽学校（現在の東京藝術大学音楽学部）の教師として迎えられました。彼は1912年まで同校でヴァイオリンと管弦楽の指導にあたり、瀬戸口藤吉、安藤幸、瀧廉太郎、小松耕輔、東儀哲三郎、三浦環、外山国彦、山田耕作、信時潔、竹内平吉、澤崎定之、杉山長谷夫、波多野福太郎、篠﨑弘嗣といった、後の日本音楽界を牽引する多くの音楽家を育成しました。ユンケルの指導は、日本の音楽教育に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

1913年には、その功績が認められ、勲二等瑞宝章を受章しました。その後、ユンケルはドイツに戻り、アーヘン音楽大学の教授やアーヘン室内交響楽団の指揮者として活動を続けました。

1934年、ユンケルは再び来日し、武蔵野音楽学校（現在の武蔵野音楽大学）の教授として、再び日本の音楽教育に尽力しました。再来日後も、新交響楽団（現在のNHK交響楽団）、松竹交響楽団（後に大東亜交響楽団）などの演奏会で指揮者として活躍しました。1938年4月には、第6回日本音楽コンクールの審査員も務めています。

1943年10月22日、ユンケルは脳溢血で倒れ、翌日には東京音楽学校奏楽堂で予定されていたアウグスト・ユンケル先生顕彰祝賀会が中止となりました。祝賀会では、山田耕筰指揮による混声合唱曲『ユンケル先生を讃ふる歌』（信時潔 曲、武島羽衣 詞）や、ユンケル指揮による6曲の合唱曲、そしてヨハネス・ブラームス作曲の『ドイツ・レクイエム』が演奏される予定でした。しかし、その願いは叶わず、ユンケルは1944年に東京で亡くなりました。

ユンケルの日本における音楽教育への貢献は計り知れません。彼が育成した多くの音楽家たちが、その後の日本の音楽界を大きく発展させたことは言うまでもありません。ユンケルの情熱と才能は、今もなお、日本の音楽史において重要な足跡を残しています。

関連項目

東京フィルハーモニー会

脚注

コトバンクなどを参照。

参考文献

“ユンケル アウグスト”. コトバンク. 20世紀日本人名事典 ; 新撰 芸能人物事典 明治 - 平成. 2020年1月18日閲覧。
“ユンケル”. コトバンク. デジタル版 日本人名大辞典+Plus. 2020年1月18日閲覧。
“ユンカー”. コトバンク. ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典. 2020年1月18日閲覧。
* “August Junker (1868-1944)” (PDF). Die japanische Wirtschaftseit der Meiji-Zeit. 在デュッセルドルフ日本国総領事館. 2020年1月18日閲覧。

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