信空 (真言律宗)

信空（しんくう）について

信空（しんくう）は、鎌倉時代後期に活躍した真言律宗の僧侶であり、寛喜3年（1231年）に大和国で生まれ、正和5年1月26日（1316年2月20日）に入滅しました。彼の字は慈道で、後に「慈真和尚」という諡号を受けました。信空は宗祖である興正菩薩叡尊の高弟として知られ、真言律宗の総本山である西大寺の第2世長老を務めました。

生涯と業績

信空は12歳の時、家に招かれた叡尊の講話を聴き、その後彼の弟子として西大寺で出家しました。師匠である叡尊をサポートし、彼が住持する般若寺の再興を助け、住持の職務を代行しました。また、叡尊の大御輪寺再興の際には上首を務めるなど、積極的に宗教活動を行いました。

正応3年（1290年）には、死の床にあった叡尊の遺言を受けて、西大寺の寺主を継承します。その後、後宇多天皇やその寵姫である談天門院（五辻忠子）に具足戒を授け、信空は信頼を寄せられる存在となりました。特に、1306年には讃岐国鷲峰山において梵網布薩を行うなど、布教活動を広く行っています。

また、信空は兄弟子の忍性と一緒に各地の国分寺を再興し、西大寺や極楽寺の末寺として機能させました。彼の活動は、当時の仏教界において重要な意味を持ち、特に地域の信仰を深める上で大きな役割を果たしました。

諡号の授与

信空の入滅後、嘉暦4年（1329年）2月25日に後宇多天皇と談天門院の子である後醍醐天皇によって『慈真和尚』という諡号が贈られました。この授与の背景には、信空の高弟であり後醍醐天皇の護持僧である文観房弘真の推挙があったとされています。文観は、約1か月後に京都から奈良の西大寺まで赴いて直接この知らせを持参し、信空の業績が高く評価されていることを伝えました。

後醍醐天皇は信空を「戒行清峻、道徳高邁」と称賛しており、その言葉からも信空の人物像や宗教的な影響力が伺えます。信空の生涯は、単に宗教者としての活動に留まらず、当時の社会において道徳的な指導者としても大いに尊敬されていました。

結論

信空は、真言律宗の発展に貢献した重要な僧侶であり、彼の存在は後の宗教的な流れにも大きな影響を与えました。彼の教えや活動は、今でも多くの人々に尊敬され、歴史上重要な位置を占めています。

もう一度検索