信長の野望 (初代)
『信長の野望』は、1983年3月に株式会社光栄マイコンシステム（現・コーエーテクモゲームス）から発売された、日本の戦国時代を題材にしたコンピューターシミュレーションゲームです。本作は、日本のゲーム市場において「歴史シミュレーション」というジャンルを確立したとされ、「信長の野望シリーズ」の記念すべき第1作目にあたります。初代「信長の野望」とも呼ばれています。
パッケージイラストは、長興寺所蔵の紙本著色織田信長像をモチーフにしたもので、歴史を感じさせるデザインが特徴です。1995年には、Windows、プレイステーション、セガサターン向けにリメイク版『信長の野望 リターンズ』が発売されました。
プレイヤーは大名家の当主（織田信長または武田信玄）となり、内政で自国を豊かにし、軍事力を蓄えながら、他の勢力との合戦を制して全国統一（中部地方と畿内の17カ国）を目指します。従来の戦争シミュレーションゲームに経済と経営の概念を取り入れた点が画期的で、富国強兵をシミュレートする要素が、当時のゲームファンを魅了しました。
従来のコンピュータシミュレーションゲームは、戦術レベルでの駒の取り合いが中心でしたが、本作では領国経営（全国地図＋戦略コマンド）と合戦（国別地図＋戦術コマンド）の2つの画面を切り替えながらプレイします。プレイヤーは、開墾や町づくりなどの政策を実行し、領内の経済を発展させながら、軍資金と兵糧を確保し、兵力を増強していく必要があります。現代の会社経営にも通じる経済的な概念は、当時のゲームユーザーに新鮮な驚きを与え、本作はさまざまなプラットフォームに移植され、大ヒットを記録しました。
開発体制は、当時のコーエーの他のゲームと同様に、社長である襟川陽一氏が一人でプログラムを手がけました。また、襟川氏が初めてシブサワ・コウを名乗って発表したゲームでもあります。本作のプログラムは、大半の機種がオールBASICで作成されており、プログラムの閲覧や書き換えが容易でした。しかし、その一方でバグも存在し、国力を極端に上げるとオーバーフローのエラーが発生したり、相場が0.0以下になった際に商人との取引でエラーが発生するなど、ゲームが続行不能になる場合もありました。これらの問題は、新しいバージョンで改善されました。
また、ゲームには裏技的なテクニックも存在しました。例えば、年貢率を0にしてから収穫前に上げることで米収入を増やし、それを元手に富国強兵を行うという手法が、当時のゲーム雑誌などで紹介されていました。このようなテクニックは、次作の『全国版』にも受け継がれました。
ゲームのロード中および開始画面は、「シンプルな中にも味のある毛筆の題字」と「兜の簡素なイラストが戦国乱世の無常さを彷彿とさせる」デザインになっています。PC-8001など低解像度の機種ではこの画面は表示されません。
本作では、2人までのマルチプレイ（対戦プレイ）が可能で、1人プレイでは織田信長のみ、2人プレイでは織田信長と武田信玄を選択できます。ゲーム開始時には、プレイヤーは大名の能力（IQ、健康、野心、カリスマ、運勢）をルーレット方式で決定します。各能力値は30から110の範囲でランダムに決定され、何度でもやり直すことが可能です。また、ゲームのレベル（敵の強さ）は5段階で選択できます。最強の「5」を選択すると、ゲーム開始直後に隣国から攻め込まれ、すぐにゲームオーバーとなることも珍しくありませんでした。
ゲーム画面は、ほぼ線画と文字と数字で構成されており、国のステータス表示に大名の顔グラフィックは存在しません。音は、経営画面、戦闘画面ともにビープ音による効果音のみで、BGMは一切ありません。
ゲーム開始時の大名家は以下の通りです。
能登（畠山）
越後（上杉）
伊豆（北条）
加賀越中（本願寺）
越前若狭（朝倉）
飛騨（姉小路）
遠江駿河（今川） ※漢字非表示機種は「遠江」がつかない
三河（徳川）
美濃（斎藤）
大和（筒井）
近江（浅井）
伊賀（百地）
伊勢志摩（北畠）
山城（足利）
摂津河内（三好）
甲斐信濃（武田）
尾張（織田）
領国経営は、国ごとに年4回（春夏秋冬に1回）ターンが訪れ、1度だけ命令を実行できます。堺の商人から借金した場合は、もう1度命令を実行可能です。コマンドは、富国強兵に関するものが中心で、対応機種やディスク版かテープ版かによってコマンド数に違いがあります。対応全機種共通のコマンドは、移動、戦争、金・米の輸送、治水工事、開墾、兵を雇う、堺の商人と取引、兵士訓練、各国の様子、町をつくる、民・兵に与える、何もしないの12種類です。
戦争はヘクス画面で行われ、兵力を分割された5つの部隊を操作して戦います。戦争のコマンドは、移動、攻撃、降参、何もしないの4種類です。移動は1マスずつで、コマンド操作は1部隊1ターンに1回だけ可能です。勝利条件は、敵の第1部隊の全滅、敵の大将の退却、敵の兵糧切れ、守備側が30日間持ちこたえるのいずれかです。
初代『信長の野望』にインターフェースなどのアレンジを加えたリメイク版が『信長の野望 リターンズ』です。基本的なゲームシステムはオリジナル版と同じですが、いくつかの相違点があります。
ポリゴンで表現された大名の顔グラフィックが常に表示される。
大名顔グラフィックは別売りの光栄製3DCGソフト・『サイクロン』シリーズで変更可能。
音楽はCD-DAとMIDIから選択可能。CD-DA音源はオーケストラ演奏。
菅野よう子作曲の、後に作られたシリーズの音楽が使用されている。
セーブは5か所まで可能。
『信長の野望』は、歴史シミュレーションゲームというジャンルを確立し、後のゲーム業界に多大な影響を与えた作品です。そのシンプルなゲーム性と奥深さは、今なお多くのファンを魅了し続けています。
パッケージイラストは、長興寺所蔵の紙本著色織田信長像をモチーフにしたもので、歴史を感じさせるデザインが特徴です。1995年には、Windows、プレイステーション、セガサターン向けにリメイク版『信長の野望 リターンズ』が発売されました。
ゲーム概要
プレイヤーは大名家の当主（織田信長または武田信玄）となり、内政で自国を豊かにし、軍事力を蓄えながら、他の勢力との合戦を制して全国統一（中部地方と畿内の17カ国）を目指します。従来の戦争シミュレーションゲームに経済と経営の概念を取り入れた点が画期的で、富国強兵をシミュレートする要素が、当時のゲームファンを魅了しました。
従来のコンピュータシミュレーションゲームは、戦術レベルでの駒の取り合いが中心でしたが、本作では領国経営（全国地図＋戦略コマンド）と合戦（国別地図＋戦術コマンド）の2つの画面を切り替えながらプレイします。プレイヤーは、開墾や町づくりなどの政策を実行し、領内の経済を発展させながら、軍資金と兵糧を確保し、兵力を増強していく必要があります。現代の会社経営にも通じる経済的な概念は、当時のゲームユーザーに新鮮な驚きを与え、本作はさまざまなプラットフォームに移植され、大ヒットを記録しました。
プログラムと裏技
開発体制は、当時のコーエーの他のゲームと同様に、社長である襟川陽一氏が一人でプログラムを手がけました。また、襟川氏が初めてシブサワ・コウを名乗って発表したゲームでもあります。本作のプログラムは、大半の機種がオールBASICで作成されており、プログラムの閲覧や書き換えが容易でした。しかし、その一方でバグも存在し、国力を極端に上げるとオーバーフローのエラーが発生したり、相場が0.0以下になった際に商人との取引でエラーが発生するなど、ゲームが続行不能になる場合もありました。これらの問題は、新しいバージョンで改善されました。
また、ゲームには裏技的なテクニックも存在しました。例えば、年貢率を0にしてから収穫前に上げることで米収入を増やし、それを元手に富国強兵を行うという手法が、当時のゲーム雑誌などで紹介されていました。このようなテクニックは、次作の『全国版』にも受け継がれました。
ゲーム開始とマルチプレイ
ゲームのロード中および開始画面は、「シンプルな中にも味のある毛筆の題字」と「兜の簡素なイラストが戦国乱世の無常さを彷彿とさせる」デザインになっています。PC-8001など低解像度の機種ではこの画面は表示されません。
本作では、2人までのマルチプレイ（対戦プレイ）が可能で、1人プレイでは織田信長のみ、2人プレイでは織田信長と武田信玄を選択できます。ゲーム開始時には、プレイヤーは大名の能力（IQ、健康、野心、カリスマ、運勢）をルーレット方式で決定します。各能力値は30から110の範囲でランダムに決定され、何度でもやり直すことが可能です。また、ゲームのレベル（敵の強さ）は5段階で選択できます。最強の「5」を選択すると、ゲーム開始直後に隣国から攻め込まれ、すぐにゲームオーバーとなることも珍しくありませんでした。
ゲームの流れ
ゲーム画面は、ほぼ線画と文字と数字で構成されており、国のステータス表示に大名の顔グラフィックは存在しません。音は、経営画面、戦闘画面ともにビープ音による効果音のみで、BGMは一切ありません。
ゲーム開始時の大名家は以下の通りです。
能登（畠山）
越後（上杉）
伊豆（北条）
加賀越中（本願寺）
越前若狭（朝倉）
飛騨（姉小路）
遠江駿河（今川） ※漢字非表示機種は「遠江」がつかない
三河（徳川）
美濃（斎藤）
大和（筒井）
近江（浅井）
伊賀（百地）
伊勢志摩（北畠）
山城（足利）
摂津河内（三好）
甲斐信濃（武田）
尾張（織田）
領国経営は、国ごとに年4回（春夏秋冬に1回）ターンが訪れ、1度だけ命令を実行できます。堺の商人から借金した場合は、もう1度命令を実行可能です。コマンドは、富国強兵に関するものが中心で、対応機種やディスク版かテープ版かによってコマンド数に違いがあります。対応全機種共通のコマンドは、移動、戦争、金・米の輸送、治水工事、開墾、兵を雇う、堺の商人と取引、兵士訓練、各国の様子、町をつくる、民・兵に与える、何もしないの12種類です。
戦争はヘクス画面で行われ、兵力を分割された5つの部隊を操作して戦います。戦争のコマンドは、移動、攻撃、降参、何もしないの4種類です。移動は1マスずつで、コマンド操作は1部隊1ターンに1回だけ可能です。勝利条件は、敵の第1部隊の全滅、敵の大将の退却、敵の兵糧切れ、守備側が30日間持ちこたえるのいずれかです。
『信長の野望 リターンズ』
初代『信長の野望』にインターフェースなどのアレンジを加えたリメイク版が『信長の野望 リターンズ』です。基本的なゲームシステムはオリジナル版と同じですが、いくつかの相違点があります。
ポリゴンで表現された大名の顔グラフィックが常に表示される。
大名顔グラフィックは別売りの光栄製3DCGソフト・『サイクロン』シリーズで変更可能。
音楽はCD-DAとMIDIから選択可能。CD-DA音源はオーケストラ演奏。
菅野よう子作曲の、後に作られたシリーズの音楽が使用されている。
セーブは5か所まで可能。
『信長の野望』は、歴史シミュレーションゲームというジャンルを確立し、後のゲーム業界に多大な影響を与えた作品です。そのシンプルなゲーム性と奥深さは、今なお多くのファンを魅了し続けています。
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