修羅

修羅（しゅら）

語源と意味

「修羅」という言葉は、元々は仏教における八部衆の一人である阿修羅の略称です。阿修羅は戦闘を司る神であり、その世界は六道の一つである修羅道として、常に争いが絶えない世界とされています。また、阿修羅が帝釈天と争った場所を「修羅場」と呼ぶことから、争いそのものや、武人のことを「修羅」と表現するようになりました。

運搬具としての修羅

「修羅」は、阿修羅が帝釈天と争った際に、大石を動かしたという伝説に由来し、大きな石や木材を運搬する道具を指す言葉としても使われます。

修羅 (そり)：巨石を運搬するための橇（そり）を指します。
修羅 (林業)：森林の伐採地から木材を搬出するために使用される大型のスライダー、滑り台を指します。
修羅車：大きな石や木材などを運搬するための車を指します。

これらの運搬具は、いずれも重量物を動かすために用いられることから、「修羅」という言葉の持つ力強さ、荒々しさを感じさせます。

その他の用法

「修羅」という言葉は、人名、作品名、フィクションの世界など、様々な分野でも用いられています。

人名
畠山修羅：室町時代の武将、畠山義就の子として知られています。

作品
修羅能：能楽において、武士を主人公（シテ）とする演目の総称です。勇壮な武士の姿を描き出す能の様式を指します。
修羅 (DOESの曲)：日本のロックバンド、DOESの楽曲名です。
修羅 (映画)：1971年の日本映画。松本俊夫監督作品で、鶴屋南北 (4代目)の『盟三五大切』を原作としています。
修羅:黒衣の反逆：2017年の中国映画。路陽監督作品で、原題は『繍春刀II：修羅戦場』です。
しゅら-縄の姉妹‐：2023年の日本映画です。
修羅 (小説)：石川淳の小説作品です。

フィクション
漫画『北斗の拳』：作中に登場する「修羅の国」の戦士を指す言葉として用いられています。
漫画『幽☆遊☆白書』：作中に登場する魔界三大妖怪の一人である黄泉の息子を指します。
修羅 (バンプレストオリジナル)：ゲーム「スーパーロボット大戦シリーズ」に登場する架空の組織の名前です。
* 東堂修羅：漫画『六三四の剣』に登場する人物で、主人公のライバルとして描かれています。



このように、「修羅」という言葉は、仏教に由来する意味だけでなく、様々な分野で異なる意味合いを持つ多義的な言葉として使用されています。その背景には、争いや闘争、力強さといったイメージがあり、それぞれの分野で、そのイメージが反映された使われ方をしていると言えるでしょう。

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