俳諧七部集

俳諧七部集は、江戸時代中期の1732年頃に佐久間柳居によって編纂された俳諧連句撰集です。この撰集は、松尾芭蕉の門人たちが編纂した代表的な七つの撰集、合計十二冊をまとめたもので、芭蕉の俳諧理念を継承・発展させた蕉門俳諧の精髄を知る上で重要な資料とされています。

収録されているのは、以下の七つの撰集です。

冬の日
春の日
曠野（あらの）
ひさご
猿蓑（さるみの）
続猿蓑
炭俵

これらの撰集は、芭蕉の没後、門人たちが師の教えを基に、それぞれの個性や作風を反映させて編纂したものです。各撰集には、多様な俳諧連句が収められており、当時の社会や文化、人々の生活や感情が生き生きと描写されています。また、蕉門俳諧の理念である「不易流行」の精神が、各句に息づいているのも特徴です。

俳諧七部集は、俳諧史研究において重要な位置を占めており、多くの研究者によって研究されています。注釈書も刊行されており、以下のようなものがあります。

『芭蕉七部集』中村俊定校注、岩波文庫。（ワイド版も刊行）
* 『芭蕉七部集　新日本古典文学大系70』白石悌三・上野洋三校注、岩波書店。（詳細な注解）

また、幸田露伴も晩年に注釈書『露伴評釈 芭蕉七部集』（中央公論社）を著しており、俳諧七部集が後世の文学者にも大きな影響を与えたことがわかります。

関連事項として、松尾芭蕉、蕉門十哲（芭蕉の弟子。誰が十哲に該当するかは諸説あります）などが挙げられます。俳諧七部集は、芭蕉の俳諧思想を理解し、蕉門俳諧の世界を深く探求するための貴重な手がかりとなるでしょう。

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