側面音

側面音

側面音（そくめんおん、英語: lateral）とは、子音を調音する際、舌の中央部分を上顎に密着させて口腔内の声道の中央部分の空気の流れを塞いだまま、舌の脇（片側または両側）を開放して起こす音。側音（そくおん）とも呼ばれます。

側面接近音

通過する空気の摩擦音を生ぜずに声を共鳴させる音を側面接近音（そくめんせっきんおん）と呼びます。一般的に単に側面音または側音と言う場合は側面接近音のみを指すことが多いです。側面接近音は多くの場合有声音ですが、ビルマ語やチベット語のように無声の側面接近音[l̥]を音素として持つ言語も存在します。

側面摩擦音

側面接近音にくらべて舌の脇の開きが小さい場合、空気が通る際に摩擦音が生じます。これを側面摩擦音（そくめんまさつおん）と呼びます。無声の側面摩擦音と無声の側面接近音はしばしば区別されずに記述されますが、音声学的に両者を区別することは可能です。フーパ語ではこの両方が現れます。

短く調音した側面音を側面はじき音ということがあります。

国際音声記号

側面接近音

[l] - 歯茎側面接近音
[ɭ] - そり舌側面接近音
[ʎ] - 硬口蓋側面接近音
[ʟ] - 軟口蓋側面接近音
[ɫ] - 軟口蓋歯茎側面接近音

側面摩擦音

[ɬ] - 無声歯茎側面摩擦音
[ɮ] - 有声歯茎側面摩擦音

側面はじき音

[ɺ] - 歯茎側面はじき音

側面吸着音

[ǁ] - 側面吸着音

構音障害との関連

日本語の構音障害として、イ段・拗音または「ケ」を発音する際に側面音を使用する現象があり、しばしば滑舌が悪い（「キ」と「チ」の区別がつきにくいなど）という印象を与えます。これらは側音化構音障害と呼ばれます。基本的に口の構造ではなく習慣の問題であるので、正しい発音方法を知ることで矯正が可能です。

「構音障害」といってもあくまで日本語として異常というだけであり、正常な音として軟口蓋側面摩擦音・破擦音のある言語も存在する（アルチ語など）。

参考文献

Ladefoged, Peter; Maddieson, Ian (1996). The Sounds of the World's Languages. Blackwell Publishing. ISBN 9780631198154

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