そり舌側面接近音

そり舌側面接近音について

そり舌側面接近音（そりじたそくめんせっきんおん）は、子音の一種であり、その発音には独特な特徴があります。この音は、舌の先端をそり上げて硬口蓋に近づけ、舌の中央部分で閉鎖を作りつつ、舌の両脇から空気を流すことによって生じます。国際音声記号では[ɭ]と表記され、音声学において重要な役割を果たしています。

発音の特徴

気流の起こし手：肺からの呼気を利用します。
発声：声帯の振動を伴う有声音です。
調音位置：舌尖をそり上げて歯茎の後部に近づけることで、そり舌音を形成します。
調音方法：舌の両脇を空気が通る側面音であり、摩擦音ほどには狭めない接近音です。
口蓋帆の位置：口蓋帆を持ち上げて鼻腔への通路を塞ぐことで、口腔内で発音される口音です。

様々な言語での使用例

そり舌側面接近音は、特にインドの言語において広く見られます。以下に具体的な言語での使用例を挙げます。

インド・ヨーロッパ語族インド語派

マラーティー語: ळ (ḷ)
グジャラート語: ળ (ḷ)
シンハラ語: ළ (ḷa)
パンジャーブ語: ਲ਼ (ḷ, グルムキー文字表記)
オリヤー語: ଳ (ḷ)
パーリ語: ḷ (ラテン文字表記)

これらの言語では、そり舌側面接近音が独立した音素として認識され、単語の意味を区別する上で重要な役割を果たしています。

ドラヴィダ語族

タミル語: ள (ḷa)
マラヤーラム語: ള (ḷa)
テルグ語: ళ (ḷa)
カンナダ語: ಳ (ḷa)

これらの南インドの言語でも、そり舌側面接近音は重要な音素として機能しています。

ウラル語族

ハンティ語: ӆ

この音はウラル語族の一部の言語にも見られます。

同化によって生じる例

以下の言語では、特定の発音環境下で同化現象によってそり舌側面接近音が現れます。

スウェーデン語: 例: sorl [soːɭ]
ノルウェー語: (特定の発音状況で)
韓国語: パッチムのリウル(ㄹ)の音は、後に続く音によってはそり舌側面接近音に近い音になる場合があります。

これらの例では、そり舌側面接近音が常に独立した音素として存在しているわけではなく、他の音の影響を受けて変化した結果として現れることがあります。

関連項目

そり舌音
子音
国際音声記号 - 子音

そり舌側面接近音は、世界中の様々な言語に存在する多様な子音の一つであり、その発音のメカニズムや分布を理解することは、音声学や言語学の研究において重要です。

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