偽鰐類

偽鰐類について

偽鰐類（ぎがくるい、Pseudosuchia）は、主竜類を二分する系統群の一部であり、特に鳥頸類（恐竜や翼竜）とは異なる進化的系統を持っています。このグループには、陸上と水中で様々な生活様式を持つ生物が含まれ、多様な形態や生活環境に適応しています。特にジュラ紀までには多くの種が絶滅しましたが、現存するワニ形上目、特にワニ目は今でも生き残っています。

歴史と進化

初期の偽鰐類として知られるリオジャスクスは、後期三畳紀のアルゼンチンに生息していたことが確認されています。加えて、サウロスクス（ラウイスクス類）やデスマトスクス（鷲竜類）といった有名な属も存在し、これらは偽鰐類の進化の中で重要な役割を果たしてきました。2021年時点では、偽鰐類は現存するワニを含む分類群として認識されています。

1990年にはノードベースの系統群である腿跗類（Crurotarsi、クルロタルシ）が提唱され、その後の研究で植竜類の位置付けが変化したため、2011年以降は腿跗類が偽鰐類よりも包括的な系統群と見なされることが一般的です。2016年には再び植竜類を偽鰐類に含める説も提唱され、これらの分類は研究者たちによって継続的に見直されています。

特徴

偽鰐類には、顎の骨にセメント質の歯槽を持つことが大きな特徴です。この構造は、歯根をしっかりと固定することを可能にし、主竜形類に共通する特徴の一つです。このため、偽鰐類は一部の研究者によって「槽歯類」としても分類されることがありますが、現在では単系統群とは見なされていません。

また、偽鰐類は直立歩行を独自に進化させています。ラウイスクス類は、その腸骨の形状を変化させ、大腿骨が下向きに配置されることで直立姿勢を獲得しました。ワニ形類もまた、恐竜と同様の大腿骨の形状を持つことで直立姿勢を取ることができます。ただし、現生のワニは四肢が体側に横に付き出しており、こうした直立歩行は実現していません。基盤的な偽鰐類は、陸棲に適応しているため、扁平な体型をしておらず、頸部は獣脚類の恐竜のように細長くなっています。

分類と系統

偽鰐類はその外見においてワニに似ていますが、ワニを含む系統とは異なる位置付けがあります。1980年代には「槽歯類」が恐竜の祖先とされ、偽鰐類も恐竜（特に竜盤類）の直系の祖先として捉えられていました。1985年に偽鰐類は、ワニと鳥類よりもワニに近縁な全ての生物を含むステム（幹）ベースのクレードとして定義されました。従来、鷲竜類のみを指すことが多かったですが、後の系統解析によって偽鰐類には広義のワニ類や正鰐類も含まれるようになりました。

腿跗類はステムベースの系統群としては偽鰐類と等しいものの、ノードベースの系統群としては異なる位置付けを持つようになっています。2011年の研究では、植竜類が主竜類の姉妹群として認識され、腿跗類は偽鰐類だけでなく、鳥類系統の主竜類や植竜類までも含むことが明らかにされました。このように、偽鰐類の分岐系統は進化と研究の進展に伴い、継続的に変化しています。

このような偽鰐類の進化的背景と特徴は、彼らの形態や生態に大きな影響を与えています。また、この系統群を通じて古代爬虫類の多様性の理解が進むことが期待されています。

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