傾物語

『傾物語』について

『傾物語』（カブキモノガタリ）は、西尾維新による青春怪異小説で、〈物語〉シリーズの第5弾として、2010年12月に講談社BOXから刊行されました。イラストはVOFANが担当しています。

物語の舞台と時系列

物語の舞台は、21世紀初頭の地方都市。主人公である阿良々木暦の高校三年の夏休み最終日、8月20日から物語は始まります。時系列としては、『偽物語（下）』の後、『猫物語（白）』の直前に位置づけられています。

あらすじ

物語は、第閑話「まよいキョンシー」として展開されます。迷子の少女、八九寺真宵がメインキャラクターとして描かれていますが、物語の中心は暦と忍野忍の2人です。物語は、暦が夏休みの宿題を終わらせるためにタイムマシンで過去に戻りたいという冗談から始まります。忍野忍の力を借りて過去へタイムスリップしますが、たどり着いたのは11年前の5月13日でした。その日は、真宵が交通事故に遭う前日。暦は真宵を助けようとしますが、過去を変えることで生じるタイムパラドックスに立ち向かうことになります。

作品の特徴

本書では、メタフィクション的な発言や読者を意識した表現が用いられており、タイムトラベルを扱った漫画への言及も見られます。また、〈物語〉シリーズでは珍しく、主人公の暦が語り部を務めています。当初は真宵を語り部にする案も検討されていたとのことです。

書籍情報

著者：西尾維新
イラスト：VOFAN
出版社：講談社
レーベル：講談社BOX
刊行日：2010年12月24日
ISBN：978-4-06-283767-5

アニメ化

2013年には、テレビアニメ『〈物語〉シリーズ セカンドシーズン』の一篇としてアニメ化されました。また、アニメ放送開始日には、読売新聞朝刊に書き下ろし短編「まよいキャッスル」が掲載されました。

登場キャラクター

阿良々木暦（あららぎ こよみ）
声：神谷浩史
物語の主人公。高校三年生。吸血鬼体質を持ち、怪異に惹かれやすい。
忍野忍（おしの しのぶ）
声：坂本真綾
暦の影に住む吸血鬼の少女。時間移動能力を持つが、多用はできない。
八九寺真宵（はちくじ まよい）
声：加藤英美里
11年前の事件がきっかけで怪異となった少女。
羽川翼（はねかわ つばさ）
声：堀江由衣
11年前の世界で幼女の姿で登場する。
忍野扇（おしの おうぎ）
声：水橋かおり
物語本編には登場しないが、導入部に登場する謎の少女。
斧乃木余接（おののき よつぎ）
声：早見沙織
影縫余弦の式神。
忍野メメ（おしの メメ）
声：櫻井孝宏
* 怪異の専門家。本作では手紙のみで登場する。

『まよいキャッスル』

本編の前日譚として、八九寺真宵が語り部を務める短編。暦との会話の中で、L・M・モンゴメリの『青い城』を話題に出し、もし余命1年と宣告されたらどうするかと問いかけます。暦の意外な答えが印象的な作品です。

『まよいキョンシー』

本作の本編。暦と忍が過去にタイムスリップし、八九寺真宵の運命を変えようと奮闘する物語です。タイムパラドックスに翻弄されながらも、運命に抗う2人の姿が描かれます。

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