僧綱補任

『僧綱補任』についての詳細

『僧綱補任』（そうごうぶにん）とは、主に日本の僧侶の地位や成り立ちを年代別に整理した歴史的書物です。818年に書かれたこの文献は、特に承和元年（834年）とその後の数年間における講師の記録も含んでおり、仏教界における僧侶たちの活躍や動向を知るための重要な資料となっています。

諸本の派生

この書物には、いくつかの異なる版が存在しており、それぞれの版は独自の特徴を持っています。以下に主な版を紹介します。

1. 興福寺本

興福寺本は、6巻からなる巻物で、平清盛による書が紙背に含まれています。この本には推古天皇32年（624年）から康治元年（1142年）までの記録が納められており、1910年に重要文化財に指定されました。また、『大日本仏教全書』の巻123に収録されています。

2. 真福寺本

真福寺本は2巻からできており、上巻の巻首が欠落しています。そのため『七大寺年表』として誤って認識されていました。奥書には恵珍による書写の記録があり、平田俊春は真福寺本が「東大寺東南院経蔵本」の抄出元であると指摘しています。内容は682年から802年までで、興福寺本からの追加情報を含んでいます。この本も1951年に重要文化財に指定されました。

3. 僧綱補任抄出

僧綱補任抄出は、深賢によって東大寺の資料を基に抄出されたもので、624年から1165年までの記録が含まれています。内容的には「真福寺本」との関連が指摘されており、こちらも『群書類従』や『大日本仏教全書』に収められています。

4. 彰考館本

彰考館本は2巻からなり、巻1が969年から1035年、巻2が1107年から1138年の記録です。この本は崇徳天皇の時代に成立し、室町時代に書写が行われましたが、興福寺本との情報が相違しています。

5. 残欠版

この残欠版は1183年から1185年の期間をカバーしています。内容は簡略で誤字も多いものですが、宮内庁書陵部や東京大学の所蔵があり、特定の文献に収められています。

6. 究竟僧綱補任

応保2年（1162年）のこの記録は高山寺旧蔵のものであり、1958年には東大寺が購入しました。内容は翻刻されており、横内裕人によって研究も進められています。

7. 五十音引僧綱補任 僧歴綜覧

これは平林盛得や小池一行によって編纂されたもので、様々な版の情報が収められています。1976年に初版が発行され、後に増訂版もリリースされています。興福寺本を主軸に、他の版の情報も取り入れています。

関連文献と資料

この書物に関する詳細な情報は、平林盛得や小池一行が編纂した『五十音引僧綱補任 僧歴綜覧 増訂版』や『大日本仏教全書』に記載されています。また、国立国会図書館や国文学研究資料館にも関連資料が保管されており、学術的な研究が行われています。

『僧綱補任』は、日本の仏教史を知る上で欠かせない貴重な資料であり、その存在意義は歴史的にも非常に重要です。

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