元和姓纂

『元和姓纂』の概要

『元和姓纂』（げんなせいさん）は、唐の元和7年（812年）に林宝によって編纂された姓氏辞典です。この辞典は、もともと10巻から構成されていましたが、現存するものは『永楽大典』の中で再編成された輯佚書です。

作者と背景

本書の著者については、『新唐書』の芸文志や『通志』氏族略序の記述に基づき、林宝とされています。しかし、『唐会要』や『冊府元亀』の中では王涯が著者とされており、これは王涯が序文を執筆したために誤解された結果です。序文では、林宝が太常博士であり、済南の人物であることが示されていますが、彼に関する詳しい情報はそれ以外には残っていません。

林宝は、憲宗の時代に宰相の趙国公（李吉甫）からこの辞典の編纂を命じられました。辞典には姓氏の由来や歴史がまとめられており、古代の先例としては紀元前の『世本』や、応劭による2世紀の『風俗通義』、5世紀の何承天による『姓苑』などがありますが、いずれも現存していません。これらは他の書籍からの引用として知ることができるのみです。

唐代においては、勅撰による姓氏録が頻繁に編纂され、『貞観氏族志』や『姓氏録』、『大唐姓族系録』などの名称が伝わっていますが、これらも早い段階で失われてしまいました。このような歴史的背景の中で、『元和姓纂』は現存する唐代の姓氏辞典として、今日でも姓に関する書物から参照されています。

構成と内容

林宝の序文によると、この辞典はまず李氏という国姓を中心に据え、その後、他の姓を韻書の順に並べる形を取っていました。各姓については、その起源や著名な人物が郡望などと共に記されています。これは、姓氏の由来や重要人物を知る上で非常に貴重な情報源となっています。

現存状況と校勘

『元和姓纂』は宋代にはすでに一部しか残存しておらず、その後に完全に消失してしまいました。しかし、後に『四庫全書』の編纂に際して『永楽大典』から輯佚されたものが残されています。これにより『唐韻』（実際には『広韻』と考えられています）の順に整えられましたが、李氏が欠けてしまっていたのが特徴です。

『四庫全書』版は不完全であるため、その後、嘉慶7年（1802年）に孫星衍と洪瑩によって校勘された版が出版されました。さらに、1915年には羅振玉による校勘版、1948年には上海商務印書館から岑仲勉による校勘の版が出版され、様々なバージョンの存在が現在も続いています。

参考文献

関連する資料として、外部リンクにて『元和姓纂』の全文を確認することができます（四庫全書本）。この資料は、姓氏に関する研究を行う上での重要な情報源となるでしょう。

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