元怡

元怡（げん い）は、北魏時代の人物で、生没年は明らかではありません。彼は皇族の一員であり、中山王元英や章武王元彬といった高位の皇族の兄弟でした。また、東海王元曄の父親としても歴史に名を残しています。

元怡は南安王拓跋楨の子として生まれました。その官歴は歩兵校尉から始まり、その後、城門校尉へと進みました。さらに、鄯善鎮将という要職を務めましたが、この地での振る舞いが問題となりました。彼はその地位を利用し、粗暴な収奪を行ったため、現地の役人から糾弾を受ける事態となったのです。その結果、元怡は職を捨てて逃亡し、最終的には免職処分となりました。

元怡は延昌年間に亡くなりました。しかし、彼の死後、孝荘帝の時代に入ると、状況は一変します。爾朱栄の妻の兄という縁故から、元怡に対して、驃騎大将軍、太尉公、雍州刺史、扶風王といった数々の官位が追贈されたのです。これは、彼に対する名誉回復の意味合いがあったと考えられます。

元怡には、元粛と元曄という二人の息子がいました。特に元曄は、東海王として知られ、その子孫もまた北魏の歴史に名を刻んでいます。

元怡に関する記録は、『魏書』の巻19下 列伝第7下と、『北史』の巻18 列伝第6に記載されています。これらの史料は、元怡の生涯や事績を知る上で重要な情報源となっています。

このように、元怡は北魏の皇族として生まれ、官僚としての道を歩みましたが、その生涯は決して平坦ではありませんでした。しかし、死後に名誉を回復し、その名前は歴史に刻まれることとなったのです。彼の人生は、北魏時代の政治や社会情勢を反映する一例として、興味深い研究対象となっています。

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