元釗

元釗（げん しょう）

元釗は、北朝時代の北魏において短期間皇帝の座についた人物です。ただし、正史においては正統な皇帝としては扱われていません。「幼主」と呼ばれることもあります。

生涯

528年2月、北魏の孝明帝がその生母である胡太后の差し金によって毒殺されるという事件が起こりました。孝明帝には潘充華との間に生まれたばかりの皇女がいましたが、胡太后はその皇女を皇子であると偽って皇帝に擁立しました。しかし、この偽装はすぐに露見し、皇女は即日廃位されました。その後、胡太后は臨洮王元宝暉（宣武帝の弟である京兆王元愉の次男で、後の西魏の文帝元宝炬の兄）の子で、当時3歳であった元釗を新たな皇帝として擁立しました。

この胡太后の強引な皇帝擁立に対し、爾朱栄は激怒し、兵を挙げて反乱を起こしました。同年4月、爾朱栄は長楽王元子攸（後の孝荘帝）を河陽で迎え入れ、黄河を渡ると長楽王を皇帝として即位させました。爾朱栄の軍勢が都に乱入すると、胡太后と元釗は捕らえられ、河陰へと送られました。そして、元釗は胡太后とともに黄河に沈められ、命を落としました。

補足

元釗は、わずか3歳で皇帝に擁立され、その直後に起きた政変によって殺害された悲劇的な人物です。彼の即位は、北魏の政情が極めて不安定であったことを示しています。

元釗は西魏の文帝の甥にあたります。

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