光輪 (宗教美術)

光輪：神聖なる輝きの歴史と象徴

光輪（こうりん）は、美術において人物の頭部や全身を取り巻く光、円、または円盤を指します。ニンブス、アウレオラ、グローリーとも呼ばれ、主に宗教的な図像で聖人や神、神聖な人物を象徴するために用いられます。

光輪の起源

光輪の歴史は古く、古代メソポタミアの宗教文学では、神や英雄から発せられる輝かしいオーラ「melam（メラム）」について言及されています。古代ギリシアでは、ホメーロスが戦闘中の英雄の頭部を包む超自然的な光を描写しました。

インドでは、光輪の使用は紀元前2000年まで遡ると考えられ、頭部の光輪は「プラバマンダラ」、全身の光輪は「プラババリ」と呼ばれていました。上座部仏教やジャイナ教でも、後に光輪が用いられるようになりました。

さまざまな文化における光輪

アジア美術

アジア美術では、光輪は炎で構成されることがあり、特に中国の青銅器にその例が見られます。イスラム美術、特にペルシャのミニアチュールやムガル絵画、オスマン帝国の美術にも光輪が見られ、仏教美術に由来する炎の光輪が天使や聖人に描かれています。

ムガル帝国の皇帝や、ラージプートとシク教徒の指導者の肖像には、丸い光輪が描かれるようになりました。美術史家は、ムガル帝国がヨーロッパの宗教美術から光輪を取り入れたと考えています。

中国では、皇帝が仏教上の権威を示す場合に光輪が使用されました。

ローマ美術

ローマ美術では、光輪は頭部を囲むオーラや神聖な輝きとして描かれます。これはヘレニズム時代のギリシアとローマ文化に現れ、ペルシアのゾロアスター教の「フワルナフ」に由来する可能性も指摘されています。

キリスト教美術

キリスト教美術では、4世紀頃からイコンに取り入れられました。当初はイエスのみが光輪を持って描かれていましたが、後に聖人や天使、預言者にも用いられるようになります。

十字形の光輪は三位一体の人物、特にイエス・キリストを表すために使われ、無地の丸い光輪は聖人や聖母マリア、預言者、天使などを象徴します。東ローマ帝国の皇帝や皇后は聖人たちと共に描かれることもありましたが、その光輪は輪郭のみでした。中世イタリア美術では、まだ列聖されていない列福された人物は放射状の直線的な光線で描かれることがありました。また、マリアには星の円環という特別な光輪が見られます。四角い光輪は献納肖像画に、六角形の光輪は徳の擬人化表現に使われることがあります。

光輪の衰退

絵画の写実主義が高まるにつれ、光輪は立体的な金色の円盤や輪として描かれるようになり、15世紀初頭にはヤン・ファン・エイクやロベルト・カンピンによって光輪の使用がほぼ放棄されました。イタリアではより長く存続しましたが、盛期ルネサンスではほとんどの画家が光輪を完全に廃止しました。

しかし、トリエント公会議の後に、宗教芸術家によって光輪の使用が再び推進されました。また、自然光で照らされた人物の頭部や、小さな光を頭部に配置することで、光輪を表現する方法も試みられました。

19世紀には、光輪は西洋の主流美術ではほとんど見られなくなりました。

キリスト教における精神的重要性

初期の教父たちは、神を光の源として捉え、カトリックでは、光輪は魂に満ちる神の恩寵の光を象徴すると解釈します。正教会の神学では、イコンは天国への窓であり、光輪は神の恩の象徴とされています。

大衆文化における使用

ポピュラーなグラフィック文化では、19世紀後半以降、単純な輪として光輪が描かれるようになり、ファンタジー作品では天使の頭上に浮かぶ輪として描かれることもあります。また、絵文字の「😇」は、光輪を持つ人を表します。

用語について

最近の辞書では、光輪は頭の周りの円のみを指しますが、リーとサーマンは全身を囲む光にもこの言葉を使用しています。

光輪は、美術史において重要な役割を果たし、様々な文化や宗教の中で、神聖な存在を象徴する普遍的なイメージとして描かれてきました。その形状や色、表現方法は時代とともに変化してきましたが、人々の精神的な世界を映し出す鏡として、今もなお、私たちの文化に影響を与え続けています。

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