児島駅 (下津井電鉄)

児島駅：下津井電鉄の面影をたどる廃駅

岡山県倉敷市児島味野に存在した下津井電鉄下津井電鉄線の駅、児島駅。JR西日本瀬戸大橋線の児島駅とは異なる、西に約700メートル離れた場所に位置していました。モータリゼーションの進展による利用客減少のため、1991年1月1日、下津井電鉄線と共にその歴史に幕を閉じました。本記事では、児島駅の変遷を詳細にたどります。

開業から廃止までの歴史

児島駅の起源は1913年11月11日に開業した味野町駅に遡ります。当初の駅名は「味野町駅」で、岡山県児島郡味野町に位置していました。下津井電鉄線茶屋町～味野町間の開業と同時に誕生したこの駅は、1914年3月15日には下津井電鉄線全通に伴い、下津井駅まで路線が延伸されました。その後、1941年8月1日に「味野駅」に改称、1948年4月1日の児島市成立に伴い所在地表示が変更、そして1956年3月26日には現在の駅名である「児島駅」に改称されました。

この頃には、鉄筋コンクリート造りの2階建て（一部3階建て）の立派な駅舎が建設され、2階には岡山県観光課の営業所も入居していました。しかし、1972年4月1日、児島～茶屋町間が廃止され、代替バスの運行開始と同時に駅は無人化、貨物営業も廃止されました。さらに、駅自体も移転を余儀なくされました。

1976年には改良工事が行われ、下津井側に移設。駅舎は簡素なトタン板造りのものとなり、ホームも1面1線に縮小されました。その後も1986年には「児島地区カルチャー計画」の一環として、再び下津井側に移設され、仮駅舎での営業を経て1988年3月12日には新駅舎が完成。職員配置駅となり、頭端式2面1線のホームを持つ駅となりました。しかし、1991年1月1日、下津井電鉄全線廃止に伴い、児島駅もその歴史に幕を閉じました。

駅の構造と周辺環境

1972年の部分廃止時点では、単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、合計2面3線のホームを持つ地上駅でした。駅舎は鉄筋コンクリート造りの立派なものでした。1976年の移転後は頭端式ホーム1面1線となり、駅舎も簡素な造りとなりました。廃止時の駅舎は頭端式ホーム2面1線で、アーチ状の屋根がホーム全体を覆っていました。路線案内図やオブジェ、カフェテラス風の設備などが設置され、公園のような雰囲気も持ち合わせていました。

駅周辺にはJR西日本本四備讃線（瀬戸大橋線）児島駅、児島競艇場、児島マリンプール、旧野崎家住宅、児島市民交流センターなどがありました。

廃止後と現在

廃止後は、レールが撤去されたものの、駅舎などはしばらく残されていました。しかし、時間の経過とともに荒廃も進みましたが、2009年8月には改修工事が行われ、壁や天井が塗り直され、ギャラリースペースとしても整備されました。現在では、ホームの一部はレンタサイクル置き場として活用され、一般にも開放されるようになり、下津井電鉄の歴史を偲ばせる貴重な場所となっています。かつての駅舎があった場所は、現在は市営駐車場およびバス停として利用されています。

アクセス

JR児島駅から徒歩で、児島市民交流センターの手前、「文化センター交差点」付近に位置しています。

隣の駅

下津井電鉄線：備前赤崎駅 - 児島駅 - 児島小川駅

かつて存在した下津井電鉄の児島駅は、その歴史と変遷、そして現在の姿を通して、地域の変容を物語る貴重な存在と言えるでしょう。

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