児玉半九郎

児玉半九郎

児玉半九郎（こだま はんくろう）は、江戸時代後期の徳山藩士です。諱は忠碩（ただひろ）。児玉源太郎の父として知られています。

生涯

文化8年（1811年）に徳山藩士・河田政直の長男として生まれました。その後、徳山藩士・児玉忠清の娘・元子と結婚し、婿養子として児玉家の家督を継ぎました。児玉家は馬廻の家格で、100石の禄高でした。

半九郎は、文人気質に富み、小笠原流の礼式を教授したり、向かいに住む漢学者・島田蕃根と語らうことを楽しんだりしました。また、行政能力にも恵まれ、評定役や代官、藩校・鳴鳳館の目付などを歴任し、藩政に貢献しました。

杉山茂丸は『児玉大将伝』において、半九郎を「権力を笠に着て徒党を組んだり、私利を営んだりする事を嫌う清廉な人物」と評しています。しかし、その一方で「一徹な気質はやや偏狭なきらいがあり、政治家向きの性格ではなかった」とも指摘しています。

天保13年（1842年）に長女・久子が、弘化4年（1847年）には次女・信子が生まれています。また、弘化2年（1845年）には浅見栄三郎の次男・次郎彦を養子に迎えました。

嘉永5年（1852年）閏2月25日、待望の嫡男・源太郎が誕生しました。源太郎誕生の知らせを受けた半九郎は、島田蕃根の家で詩文に興じていましたが、歓喜してすぐに帰宅し、祝杯を挙げたと伝えられています。

嘉永6年（1853年）6月の黒船来航を機に、徳山藩でも開国か攘夷かで政論が盛んになります。半九郎は早くから尊王攘夷を唱えていましたが、その主張が藩内の対立派閥に疎まれ、蟄居閉門を命じられてしまいます。そして、安政3年（1856年）10月19日に憂悶のうちに死去しました。享年46歳でした。

嫡男の源太郎は当時まだ5歳と幼かったため、半九郎の喪が明けた後、養子の次郎彦が半九郎の長女・久子と結婚し、児玉家の家督を継ぐことになりました。

人物

児玉半九郎は、文人としての側面と行政官としての側面を併せ持った人物でした。清廉潔白な人柄で、私利私欲を嫌う性格でしたが、その一徹な気質が災いし、不遇な晩年を送りました。しかし、その血筋は嫡男・源太郎へと受け継がれ、源太郎は明治時代の軍人として、日本の近代化に大きく貢献することになります。

参考文献

小川宣『周南風土記』文芸社、2006年8月。ISBN 978-4-28601-631-3。
小林道彦『ミネルヴァ日本評伝選「児玉源太郎」』ミネルヴァ書房、2012年2月。ISBN 978-4-62306-283-6。

もう一度検索