児玉桃

児玉 桃（こだま もも）

児玉 桃は、1972年に大阪府で生まれた日本のピアニストです。現在はフランスのパリを拠点に活動しており、マネジメントはKAJIMOTOが行っています。ピアニストの児玉麻里は彼女の姉にあたり、姉妹での共演も行っています。

幼少期と教育

父親の仕事の関係で、児玉はわずか1歳で家族と共にヨーロッパへ渡りました。この移住が、彼女の音楽的キャリアの基盤を築くことになります。13歳になると、権威あるパリ国立高等音楽院に入学し、高名なジェルメーヌ・ムニエに師事しました。音楽院では集中的な訓練を受け、わずか16歳で同音楽院を卒業するという異例の早さで才能を示しました。

国際的な活躍と受賞歴

学生時代からその才能は高く評価されており、セニガリア国際コンクールでの優勝をはじめ、1987年にはエピナール国際ピアノコンクールでも優勝を飾りました。19歳となった1991年には、クラシック音楽界で権威のあるミュンヘン国際音楽コンクールに出場し、1位該当者なしの中での第2位という輝かしい成績を収め、国際的な注目を浴びるようになりました。

その後も、彼女の卓越した音楽性は数々の賞によって認められています。1994年にアリオン奨励賞、1997年に出光音楽賞を受賞。1999年にはテレンス・ジャッド賞を受賞し、その才能が国際的に広く認知されました。2009年には芸術選奨新人賞と中島健蔵音楽賞を相次いで受賞。2012年には、2011年に行われたリサイタル「児玉桃ピアノファンタジー vol.1」が佐治敬三賞を受賞しました。さらに2022年には、芸術文化分野での顕著な功績に対し、芸術選奨文部科学大臣賞が授与されています。

演奏活動とレパートリー

児玉桃の演奏活動は多岐にわたり、世界各地の主要なコンサートホールや音楽祭で演奏しています。特に、オリヴィエ・メシアンの作品に対する深い理解と演奏は高く評価されており、2002年にはメシアンの代表作「みどり児イエスにそそぐ20の眼差し」全曲リサイタルを成功させました。また、2008年にはメシアン生誕100年を記念したプロジェクトシリーズ公演にも参加しています。

オーケストラとの共演も数多く、2004年には名古屋フィルハーモニー交響楽団のヨーロッパツアーに参加し、プラハの春音楽祭でメシアンの「トゥーランガリラ交響曲」を演奏しました。国際的な音楽祭であるラ・フォル・ジュルネには、ナント、リスボン、東京といった開催地で複数回出演しています。現代音楽にも積極的に取り組み、2006年には北ドイツ放送交響楽団の定期演奏会で、細川俊夫のピアノ協奏曲「月夜の蓮」の世界初演を務めるなど、現代作品の紹介にも貢献しています。2014年には、準・メルクル指揮のロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団と細川俊夫作品で協演しています。

録音作品

録音活動も活発に行っており、2003年にオクタビアレコードからCDデビューを果たしました。彼女のレパートリーは幅広く、クロード・ドビュッシーやフレデリック・ショパンといったロマン派・印象派の作品集から、オリヴィエ・メシアンの「みどり児イエスにそそぐ20の眼差し」や「鳥のカタログ」全曲録音といった大規模な作品まで含まれます。また、メシアン、ラヴェル、武満徹といった作曲家の作品を収めたアルバム「鐘の谷」や、ドビュッシーと細川俊夫の練習曲集を組み合わせた「点と線」など、テーマ性のあるアルバムも発表しています。姉の児玉麻里とはピアノデュオとしてチャイコフスキーのバレエ組曲集を録音しており、姉妹ならではの息の合った演奏を聴くことができます。その他、堀米ゆず子、ショパン、細川俊夫などの作品集にも参加しています。

児玉桃は、確かなテクニックと豊かな音楽性で、クラシックから現代まで幅広い時代の作品に新たな光を当てています。特にメシアンや細川俊夫といった作曲家への深い共感に基づく演奏は、国内外の批評家や聴衆から高く評価され、現代における重要なピアニストの一人として国際的に活躍を続けています。

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