入佐町

鹿児島市入佐町の概要

入佐町（いりさちょう）は、鹿児島県鹿児島市の最西端に位置する町です。かつては日置郡に属し、上伊集院村、松元町を経て、2004年に鹿児島市に編入されました。豊かな自然と歴史を持つこの地域は、永吉川支流の永田川上流域に位置し、北は日置市伊集院町、南は日置市吹上町に隣接しています。町域の北部を鹿児島県道35号線が東西に横断しています。

現在の入佐町は、郵便番号899-3206と899-2706に分かれ、2020年4月1日時点で人口308人、157世帯が暮らしています。面積は6.8平方キロメートルです。

地理

入佐町は、鹿児島市の西端に位置し、永吉川の支流である永田川の上流域に広がっています。周辺地域は、北に日置市伊集院町、南に日置市吹上町、西に日置市日吉町と吹上町、東に直木町が隣接しています。町域全体が「入佐辺地」として指定されており、山間部特有の景観が残っています。

歴史

前史時代

入佐町には、古くから人々の生活があったことがわかっています。地内の松山原からは弥生土器や磨製石斧が、口ノ坪からは古墳時代の土師器や軽石製人形が出土しており、古代から集落が形成されていたことが伺えます。

入佐の成立

平安時代には「納薩郷」という地名があり、これが「入佐」の起源ではないかと考えられています。室町時代初期には、伊集院忠国の孫である景氏が入佐に居住し、入佐氏を名乗ったとされています。戦国時代には「入佐名」という地名が見られ、この頃には地域が名田として認識されていたことがわかります。

近世の入佐

江戸時代には、薩摩国日置郡伊集院郷に属し、村高は476石余から511石余と記録されています。天保年間には12の門があったとされ、各門が共同体を形成していました。上前集落には郷士が居住し、永吉郷境の監視を行っていました。村内は上の前、大下、下原の3つの字に分かれ、これらの集落は閉鎖的で、共同体意識が強く、伝統的な風習が第二次世界大戦終戦後まで残っていました。明治時代には茶の生産も行われていました。

町村制施行以後

1889年の町村制施行により、入佐村は上伊集院村の一部となり、大字「入佐」となりました。1952年には南鉄バス（現在の鹿児島交通）の路線が開通し、交通の便が向上しました。1960年には上伊集院村が松元町となり、2004年に松元町が鹿児島市に編入された際、入佐町として新たな町が設置されました。

文化財

県指定文化財

松元町入佐の田の神は、享保12年（1727年）に造立された、旧松元町内で最古の田の神像であり、鹿児島県の有形民俗文化財に指定されています。

市指定文化財

仙寿院跡は、入佐町にある史跡で、市の記念物として指定されています。

施設

公共施設

日置市クリーン・リサイクルセンターは、かつて日置地区塵芥処理組合の施設でしたが、松元町の鹿児島市編入により、現在は日置市の管理となっています。

寺社

入佐町には、地域の人々に信仰されている大鳥神社があります。

祭事

入佐棒踊りは、毎年11月下旬に大鳥神社に奉納される伝統的な踊りです。豊作を祈願するこの踊りは、1887年頃に隣接する吉利村から伝承されたとされています。

教育

入佐町内の児童・生徒は、鹿児島市立の小学校・中学校に通学します。

交通

入佐町には、鹿児島県道35号永吉入佐鹿児島線が通っています。


入佐町は、古くからの歴史と文化、豊かな自然が残る、魅力的な地域です。

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