直木町

鹿児島市直木町：歴史と自然が調和する地域

直木町は、鹿児島県鹿児島市の西部に位置する町です。旧薩摩国日置郡に属し、伊集院郷の一部として歴史を刻んできました。現在の町域は、かつての上伊集院村大字直木の一部であり、松元町を経て鹿児島市に編入されました。人口は約800人、世帯数は約400世帯で、静かな住宅地が広がっています。

地理

直木町は、鹿児島市の西部、下谷口川と永吉川の支流が流れる上流域に位置しています。標高約170メートルの台地に集落が点在しており、自然豊かな景観が広がります。町域の北には日置市伊集院町下谷口、南には四元町や平田町、西には入佐町や日置市吹上町永吉、東には上谷口町が隣接しています。この地域には古くから集落が形成されており、縄文時代初期の土器や弥生時代の土器が出土していることから、長い歴史を持つ場所であることがわかります。町内には鹿児島市立東昌小学校があり、地域の子どもたちの教育を担っています。

歴史

先史時代

直木町では、東昌寺遺跡、山方遺跡、立元遺跡などの遺跡が発見されており、縄文時代や弥生時代の土器が出土しています。特に東昌寺遺跡は1952年に発掘調査が行われ、縄文土器や弥生土器が多数発見されました。これらの遺跡は、この地域に古くから人々が生活していたことを物語っています。

直木の成立と中世

「直木」という地名は、室町時代から見られるようになり、1418年の文書に「薩摩国伊集院直木内坂上門水田六段」という記述があります。この頃から山方や牟田、池田、向原などの地域が開拓され、直木村が成立したと考えられています。

近世の直木

江戸時代には、直木村は薩摩藩の直轄地であり、伊集院地頭の支配下にありました。村高は時代によって変動しましたが、およそ800石程度でした。村内は上直木、中直木、下直木、平谷、四元などの字に分かれていました。直木村は、薩摩藩の直轄地として、郷士たちが長州征伐や戊辰戦争に参加しました。また、この地域では、古くから茶の栽培が行われており、1811年には茶が藩への上納品として記録されています。

町村制施行以後

1889年の町村制施行により、直木村は上伊集院村の一部となり、大字「直木」となりました。その後、1960年に上伊集院村は松元村となり、町制施行を経て松元町となりました。1967年には直木の駐在所が廃止され、2001年には一部区域の編入が行われました。2004年には、大字直木の一部が平田、四元として分離し、その後、松元町は鹿児島市に編入されました。合併に伴い、大字直木は廃止され、新たに「直木町」として鹿児島市の一部となりました。

字域の変遷

直木町の字域は、歴史的な経緯の中で、合併や分離を経て現在の形になりました。2001年や2004年には、一部の字が他の地域に編入されたり、新たに大字が設置されたりしました。

人口

国勢調査によると、1995年以降、直木町の人口は減少傾向にあります。しかし、地域住民は連携を深め、地域コミュニティを維持しようとしています。

施設

公共

直木町には、松元ダムや農畜産物処理加工センターなどの公共施設があります。これらの施設は、地域の生活や産業を支える重要な役割を担っています。

教育

町内には、鹿児島市立東昌小学校があり、地域の子どもたちが学んでいます。

郵便局

直木簡易郵便局が、地域住民の郵便や金融に関するサービスを提供しています。

寺社

直木町には、鎮守神社があり、地域の信仰の中心となっています。

学区

小・中学校の学区は、鹿児島市の教育委員会が定める規定に基づいて定められています。

交通

直木町には、主要地方道である鹿児島県道35号線と、一般県道である鹿児島県道291号線が通っており、交通の便は比較的良いです。また、日置広域農道も利用されています。

まとめ

直木町は、歴史と自然が調和した魅力的な地域です。古代からの歴史を持ち、中世には村として成立し、近世には薩摩藩の一部として重要な役割を果たしました。現在は鹿児島市の一部となり、静かな住宅地として、その歴史と文化を受け継いでいます。地域の活性化のため、今後の発展が期待されます。

参考文献

「角川日本地名大辞典 ４６ 鹿児島県」
『松元町郷土誌』
『鹿児島市史Ⅴ』
『松元町閉町記念誌』
* 『日本歴史地名大系47巻 鹿児島県の地名』

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