伊集院

伊集院の歴史と変遷

伊集院（いじゅういん）は、鹿児島県に位置する地名です。その歴史は古く、鎌倉時代から戦国時代にかけては薩摩国における院名として、また江戸時代には薩摩藩の外城名としてその名が知られていました。

地名の由来

伊集院という地名の由来は、この地にイスノキが多く自生していたことと、平安時代に租税として納められた稲穂を保管する倉院が置かれていたことにあります。この倉院が「いすいん」と呼ばれるようになり、それが転じて「伊集院」となったとされています。

中世から江戸時代

中世には、島津氏の傍流である伊集院氏がこの地を領有し、現在の日置市伊集院町大田に位置する一宇治城を拠点としていました。しかし、伊集院頼久の乱をきっかけに、伊集院氏は島津氏との間で領地を巡る争いを繰り広げ、最終的には没落。その後、伊集院は島津氏の直轄地となりました。ただし、石谷村（現在の鹿児島市石谷町）は一時的に町田氏の私領となっていました。

江戸時代に入ると、薩摩藩の統治制度である外城制のもとで伊集院郷として継承され、日置郡に属し、薩摩藩の直轄領となりました。しかし、一部は引き続き私領として残りました。

明治時代初期には、中川村、郡村、徳重村など29の村と野町から構成されていました。

町村制施行後

1889年（明治22年）の町村制施行に伴い、伊集院郷は上伊集院村、中伊集院村、下伊集院村の3つの行政区画に分割されました。

上伊集院村：上谷口村、福山村、春山村、石谷村、直木村、入佐村
中伊集院村：下谷口村、清藤村、猪鹿倉村、恋ノ原村、古城村、飯牟礼村、郡村、徳重村、大田村、中川村、土橋村、竹之山村
下伊集院村：苗代川村、野田村、神之川村、宮田村、寺脇村、上神殿村、岳村、下神殿村、桑畑村、麦生田村、有屋田村

その後、1922年（大正11年）には中伊集院村が町制を施行し、伊集院町へと改称。1956年（昭和31年）には、下伊集院村の一部が郡山村、東市来町、日吉町に編入され、残りの部分と伊集院町が新設合併し、新たな伊集院町が誕生しました。1960年（昭和35年）には、上伊集院村が松元町へと改称し、町制を施行しました。

2004年（平成16年）には、松元町と郡山町が鹿児島市に編入され、2005年（平成17年）には伊集院町、東市来町、日吉町、吹上町が新設合併し、日置市が誕生しました。現在の伊集院は、鹿児島市の一部（松元地域の全域、郡山地域の一部）と、日置市の一部（伊集院地域の全域、東市来地域の一部、日吉地域の一部）にまたがっています。

伊集院を由来とするもの

自治体

伊集院町：かつて鹿児島県日置郡に存在した町で、現在の日置市の一部です。町村制施行時は中伊集院村でした。
上伊集院村：かつて鹿児島県日置郡に存在した村で、1960年に改称し松元町となりました。現在の鹿児島市の一部です。
下伊集院村：かつて鹿児島県日置郡に存在した村で、1956年に東市来町、日吉町、郡山村、伊集院町に分割されました。現在の日置市と鹿児島市の一部です。

施設

上伊集院駅、上伊集院郵便局：鹿児島市上谷口町に位置し、かつての上伊集院村大字上谷口にあります。上伊集院村の名称が残る数少ない施設です。
下伊集院郵便局：日置市東市来町美山に位置し、かつての下伊集院村大字苗代川にあります。

人名関連

伊集院氏：日本の氏族であり、特に薩摩島津氏の一族が伊集院郷の地頭職に就任したことで伊集院氏を名乗ったとされています。
伊集院：日本の姓の一つで、伊集院五郎、伊集院俊などの人物がいます。また、伊集院静、伊集院光のように筆名や芸名として伊集院を名乗る人物もいます。

架空の人物

伊集院忍：大和和紀の漫画『はいからさんが通る』の主要登場人物。
伊集院茂夫：YouTubeチャンネル『ヒューマンバグ大学 闇の漫画』に登場する架空の人物。

脚注

注釈

出典

参考文献

松元町郷土誌編さん委員会『松元町郷土誌』松元町、1986年3月。
https://www.city.kagoshima.lg.jp/kikakuzaisei/kikaku/seisaku-s/shise/shokai/shishi/matsumoto.html (2023年1月14日閲覧)

関連項目

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