入植地

入植地とは

入植地とは、開拓や植民を目的として、ある場所から別の場所へ人々が移住した際に、その移住先となった土地のことを指します。この移住は、しばしば「移民」「開拓者」「入植者」といった人々によって行われます。国際的な視点で見ると、入植地は植民地とほぼ同義に扱われることもあり、国家が支配体制を確立するために意図的に入植者を送り込む行為は、開拓植民地主義と呼ばれています。

日本における入植地

日本では、特に北海道の開拓において、移住してきた土地を入植地と呼ぶことがあります。明治時代には、北海道開拓のために屯田兵が導入され、琴似屯田兵村などで成果を上げました。また、会津若松の人々が中心となり「会津植民組合」を設立し、せたな町に開拓地を築きました。新十津川町は、十津川村の住民が集団で移住し開拓した町として知られています。徳島県には北海道移住に関する資料が残されており、上田静一氏による被差別部落からの北海道移住など、公にされていない歴史も存在します。

海外における入植地

世界史においては、ヨーロッパ人がアメリカ大陸、オーストラリアなどの新世界や南アフリカなど一部のアフリカ地域に移住した土地が、入植地として認識されています。また、第二次世界大戦後の国際情勢を考慮すると、占領地に外部から移住してきた民間人の土地も入植地とみなされます。占領権力による自国民の移住は、ジュネーヴ第四条約第49条に違反する行為とされています。しかし、パレスチナ、キプロス、西サハラでは大規模な入植が行われています。

中東におけるユダヤ人入植地

中東におけるユダヤ人入植地は、元々はユダヤ人の移住を目的としたキブツ（集団農場）や都市開発が始まりでしたが、国際的な問題となるのは、1967年の第三次中東戦争以降にイスラエルが占領した地域に建設された入植地です。

キプロスにおける入植地

キプロスでは、トルコが北キプロスへ入植を行っています。元々、キプロスにはギリシャ系住民とトルコ系住民が居住しており、キプロス紛争が1955年から続いていました。1974年のギリシャ系住民によるクーデター後、トルコはトルコ系住民の保護を名目に軍を派兵し、キプロス島北部を占領しました。その後、北キプロス・トルコ共和国が建国され、トルコからの移住が盛んになりましたが、国際社会は北キプロスをトルコ軍の占領地域と認識しており、トルコからの移住はジュネーヴ第四条約違反とされています。ただし、北キプロスでは占領者と被占領者が同じ民族であり、両者の混合が進んでいるため、「入植地」とその他の土地の区別は曖昧です。

西サハラにおける入植地

西サハラでは、モロッコによる入植が行われています。西サハラはかつてスペイン領でしたが、スペイン撤退後にモロッコとポリサリオ戦線との間で西サハラ戦争が発生しました。モロッコは西サハラの大部分を占領し、自国民の入植を後援しました。西サハラの主権は国際的に未確定であり、モロッコの入植行為はジュネーヴ第四条約違反と認識されています。2005年までに、モロッコ人入植者は西サハラ住民の3分の2以上を占めるようになり、入植地とその他の土地の区別は曖昧になっています。

関連事項

開拓使: 明治維新後、北海道の開拓のために設置された日本の官庁です。移民政策を推進し、北海道各地に人々を呼び寄せました。
オキナワ移住区: 沖縄県民が海外に移住した地域を指します。
先住民: 特定の地域に古くから居住している人々を指します。
植民地: 他の国家や地域によって支配される土地を指します。
* 移住: ある場所から別の場所へ生活の拠点を移すことを指します。

入植地は、歴史、政治、社会、国際法の観点から複雑な問題を孕んでいます。入植地の現状を理解することは、現代社会における様々な紛争や国際関係を考察する上で重要な要素となります。

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