全儀

全儀の生涯とその影響

全儀（ぜんぎ、生没年不詳）は、中国三国時代の呉において重要な役割を果たした政治家および武将です。揚州呉郡銭唐県出身で、彼の家族背景は非常に広範囲にわたりました。祖父の全琮から始まり、父の全緒、兄弟には全禕と全静、さらに叔父や従兄弟を含む全氏一族は、一辺倒に繁栄し、呉国の政局に影響を与えました。

全琮は、孫権の娘である孫魯班（全公主）と結婚したため、呉の皇室と親戚になり、この関係から全氏一族はさらに力を増しました。特に、全皇后が孫亮の後妃となった時期、全氏は政治的に非常に有利な位置を築くことになります。全皇后の父である全尚は、太常・衛将軍・録尚書事・永平侯に任命され、全氏家族の中で多くが侯に封ぜられるという事例が生まれました。一族のメンバーは軍指揮や官吏として的重要な役割を果たし、呉国の指導層として他にないほどの影響力を持つに至ったのです。

諸葛誕の乱と全氏一族の動き

太平2年（257年）、魏の諸葛誕が反乱を起こし、呉に援軍を求める事態が発生しました。この時、呉の孫綝は、全端・全懌・全静・全翩・全緝ら全氏一族と共に約3万人の援軍を派遣しました。彼らは、諸葛誕が籠もる寿春へ向かい、強力な軍隊であることを証明しました。

しかし、同時に全儀と彼の兄・全禕は建業に留まっていました。すると、内輪の争いが起こり、全禕と全儀は長江を渡って司馬師に帰順しました。この際、鍾会は全氏一族を利用し、彼らが逃亡の理由として「呉の内部での反発」に基づく虚偽の文書を作らせ、これを利用して全懌らを動揺させます。その結果、全氏一族は降伏することになります。

衰退とその後

全氏一族の降伏をきっかけに、寿春は混乱し、最終的には陥落してしまいます。その後、全氏一族のメンバーである全煕は誅殺され、再び政変が起こると、太平3年（258年）には孫亮が廃位され、全尚が流罪となり、最終的には全紀も自害する事態となりました。このように、全氏一族は急速に衰退し、呉国内での影響力を失っていったのです。

全儀の一生は、三国時代において家族の結びつきや政局の変化が如何に全体の動向に影響を与えるかを示す一例と言えるでしょう。全氏一族はかつて覇権を握っていたものの、時代の変遷とともにその運命は大きく変わることとなりました。

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