衛将軍

衛将軍

衛将軍（えいしょうぐん）は、中国の前漢以降に置かれた軍事官職の一つです。特定の将軍位を指し、軍を率いる役割を担いました。

歴史

衛将軍の初見は、前漢の文帝元年（紀元前179年）に遡ります。文帝が即位前から信頼していた宋昌を衛将軍に任命したのが始まりです。その後、匈奴の侵入に対処するために出動した中尉の周舎など、既存の軍事官職にある者に対して、追加的な称号として与えられることもありました。

歴史書の『史記』には、名将である衛青の列伝が「衛将軍」として立てられていますが、これは官職としての衛将軍とは異なります。

後漢の制度を記した『続漢書』百官志によると、衛将軍は常設の官職ではなく、反乱の鎮圧など、特定の軍事任務が発生した場合に臨時に設置され、兵を指揮する役割を担いました。将軍位としては、大将軍、驃騎将軍、車騎将軍に次ぐ地位にありました。

職務と構成

衛将軍の属官には、長史、司馬（ともに秩禄比千石）、従事中郎（秩禄比六百石）がいました。兵を率いる際には、部や曲といった подразделения が置かれました。部には校尉（秩禄比二千石）と軍司馬（秩禄比千石）が配置され、その下に曲があり、軍候（秩禄比六百石）が置かれました。さらに曲の下には屯があり、屯長（秩禄比二百石）が配置されていました。

各王朝における衛将軍

三国時代の魏では、衛将軍は二品官とされ、曹洪、司馬師、司馬昭、孫資、胡遵などが任じられました。蜀漢では姜維、諸葛瞻が、呉では全琮、士燮、濮陽興などが衛将軍に任命されています。

晋の時代になると、陸曄が衛将軍・儀同三司に任じられたことを契機に、衛将軍は一品官となり、東晋代まで将軍職の筆頭となりました。北魏でも衛将軍は設置されています。

唐代になると、衛将軍は設置されませんでした。

参考文献

司馬遷『史記』
小竹文夫・小竹武夫『史記』1から8、筑摩書房、ちくま学芸文庫、1995年。
班固『漢書』
小竹武夫訳『漢書』1から8、筑摩書房、ちくま学芸文庫、1998年。
* 司馬彪『続漢書』（『後[[漢書]]』合刻）百官志一

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