全国労農大衆党

全国労農大衆党の歴史と背景

全国労農大衆党（全労党）は、1931年に大日本帝国に誕生した政党です。この政党は当時の日本における無産政党が統合して結成されましたが、わずか1年後の1932年には他の政党と合同する形で消滅しました。全労党の歴史は、日本の政治状況や無産政党たちの苦闘を反映したものと言えるでしょう。

結成の背景

日本の歴史を辿ると、1930年に実施された第17回衆議院議員総選挙の結果が大きな影響を持っていたことがわかります。この選挙では、社会民衆党、日本大衆党、労農党がそれぞれ2議席、2議席、1議席しか得られず、無産政党にとっては衝撃的な敗北でした。このような結果に直面したことで、無産政党は団結を余儀なくされることとなり、1931年7月には全国大衆党から全国労農大衆党が結成されました。書記長には麻生久が就任し、党員は約5万7000人にのぼりました。

政策と活動

全国労農大衆党は、帝国主義的な侵略戦争に反対することを主眼に置き、結党大会では堺利彦が「病床にあっても帝国主義戦争反対の叫びを続ける」と表明しました。しかし、党が掲げた理念と実際の活動はしばしば乖離していました。1931年には、満洲事変に対して対支出兵反対闘争委員会を設立するなどの行動を試みましたが、その運動は弾圧を受け、具体的な成果は残せませんでした。選挙活動においては、府県会選挙で13議席を獲得し、1932年の第18回衆議院議員総選挙では2議席を得ることに成功しました。

内部の変遷と右傾化

当初は中間派と左派の結成した政党でしたが、時間が経つにつれ、国家社会主義的な方針が提唱されるようになり、全労党は右傾化していきました。1932年7月には左右の派閥が合同し、社会大衆党として再編成されます。これは、党内の思想の対立が強まる中での一つの解決策だったと言えます。

土地問題と大日本生産党との衝突

特に1931年、栃木県では農村が凶作に見舞われ、多くの小作農が深刻な状況に置かれました。労農大衆党の栃木県連は、小作料の減免を求めて地主との交渉を進めましたが、一部の地主は右翼の大日本生産党の支援を仰ぐ形で対立が激化しました。1932年1月には、労農大衆党員が武装して大日本生産党員に襲いかかり、3人が死亡、数十人が負傷する事件が発生しました。この事件により、およそ300名の労農大衆党員と200名の大日本生産党員が拘束されました。その後、両者は小作調停法に基づき調停に応じ、和解が図られました。

結論

全国労農大衆党の歴史は、無産政党の形態や運動の困難さを物語っています。短命に終わった政党ではありましたが、当時の日本の政治における重要な試みであり、労働者や農民の権利を守るために尽力したその姿勢は、今なお評価されています。

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