全米録音資料登録簿

全米録音資料登録簿 (National Recording Registry) について

全米録音資料登録簿は、アメリカ議会図書館が、将来にわたって保存すべきと判断したアメリカの録音資料をリスト化したものです。この登録簿は、アメリカの録音遺産を保護するための重要な取り組みの一環であり、全米録音資料保存委員会(National Recording Preservation Board, NRPB)によって毎年選出が行われます。

概要

2000年に制定された録音資料保存法により、アメリカの録音遺産を保護するための全国的なプログラムが確立されました。この法律に基づき、全米録音資料登録簿、全米記録保存委員会、そして資金調達を行う財団が設立されました。

登録の主な目的は、文化的、歴史的、または審美的に重要な録音、およびそのコレクションを維持し、後世に伝えることです。

2003年1月27日には、最初の50件の録音が、当時の米国議会図書館長であるジェームズ・H・ビリントンによって発表されました。最初の4年間は毎年50件が選ばれ、2006年以降は毎年25件が選ばれるようになりました。2022年現在、合計600件の録音がこの登録簿に保存されています。選考は毎年行われ、公募を経て選出されたリストが翌春に発表されます。

登録された作品の原本または複製は、米国議会図書館のパッカード・キャンパス（国立視聴覚保護センター）に保管されます。また、アメリカ国立公文書館の視聴覚コレクションに収蔵される録音も含まれることがあります。特に、政治的な性質を持つ録音は、アメリカ国立公文書館のコレクションと重複する傾向があります。

選定基準

録音資料が登録されるための選定基準は以下の通りです。

録音は「文化的、歴史的、または審美的に重要」であること、またはアメリカの文化を伝え、反映するものであること。
録音の複製が存在しない場合、登録の対象とはなりません。
録音が行われてから10年以上経過していること。

統計

2022年現在、登録されている最も古い録音は、1850年代に遡るエドゥアール・レオン・スコット・ド・マルタンヴィルのフォノトグラフです。最も新しいものは、ポッドキャスト『WTF with Marc Maron』の2010年ロビン・ウィリアムズのエピソードです。

録音時間の長さは作品によって大きく異なります。初期のエジソンの録音や、リンク・レイの「ランブル」、ビル・ヘイリーとヒズ・コメッツの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」のように3分未満のものもあれば、エジソンの「おしゃべり人形」シリンダーのようにわずか17秒の短いものもあります。一方で、ゲオルク・ショルティによるワーグナーの『ニーベルングの指環』全曲録音のように約15時間、アレクサンダー・スコービイによる欽定訳聖書の朗読のように80時間以上、リンドン・B・ジョンソンの録音のように850時間近いものまで存在します。

登録される録音資料は、必ずしもアメリカで制作されたものである必要はありません。アメリカの生活に大きな影響を与えたり、アメリカの文化を反映している場合は、登録の対象となります。これまでに登録された日本人による唯一の録音は、近藤浩治が作曲・演奏したスーパーマリオブラザーズの地上BGMです。また、日本で録音された外国人アーティストの録音としては、サラ・ヴォーンの『ライヴ・イン・ジャパン』とチープ・トリックの『チープ・トリックat武道館』が登録されています。

リスト

（詳細なリストは、下記の外部リンクをご参照ください）

関連項目

アメリカ国立フィルム登録簿
List of National Recording Registry (英語)

外部リンク

National Recording Preservation Board
Full National Recording Registry
NPR All Things Considered – Registryからの選定を紹介するシリーズ
WNYCの選定スポットライト
米国議会図書館公式YouTubeチャンネルのNational Recording Registryセレクションビデオ
BMP Audioドキュメンタリー：選出された殿堂入り作品
1Aドキュメンタリー「Sounds of America」：殿堂入り作品

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