全羅線

全羅本線（チョルラほんせん）

韓国鉄道公社が管轄する全羅本線は、大韓民国の全北特別自治道に位置する益山駅を起点とし、全羅南道の麗水市にある麗水エキスポ駅に至る主要な鉄道路線です。全長180.4キロメートルに及び、全羅道東部の内陸地域を結ぶ重要な役割を担っています。

路線概況

全羅本線は、益山駅で湖南線から分岐し、当初は東方向へ進みますが、やがて南へと向きを変えます。全北特別自治道の中心都市である全州市を経て、任実郡、南原市、谷城郡といった全羅道東部の内陸部に位置する市や郡を縦断しながら南下します。全羅南道東部の主要都市である順天市で慶全線と接続し、さらに南へ進路を取り、麗水半島を縦断して半島の東端近くに位置する終点、麗水エキスポ駅へと到達します。路線全体の距離は約180.4kmです。

路線データ

全羅本線の路線データは以下の通りです。

路線距離: 180.4km
軌間: 1435mm（標準軌）
駅数: 30駅（起終点駅を含む）
複線区間: 益山駅 - 麗川駅間（170.9km）
電化区間: 全線（交流25kV, 60Hz）
最高運転速度: KTX 200km/h、一般列車 150km/h
* 設計最高速度: 230km/h

歴史

全羅本線は、日本統治時代の1937年に全線が開通しました。当初、益山（当時は裡里）と順天を結ぶ区間は「慶全北部線」と呼ばれ、順天から麗水港までの区間は「松麗線」の一部でした。1937年の全線開通時に、これらを合わせて裡里-順天-麗水港間が「全羅線」として一本化されました。なお、松麗線のうち松汀里-順天間は現在の慶全線の一部となっています。

路線の発展に伴い、1981年には全州市街地にあった全州駅が、市の北東部の外郭地帯へ移転しました。長らく沿線にはローカル線らしい趣が漂っていましたが、近年になって大規模な電化や線形改良工事が実施され、高速運転に対応できる路線へと変貌を遂げました。

運行形態と高速化

全羅本線を運行する旅客列車の大部分は、益山駅で韓国高速鉄道（KTX）が経由する湖南線や湖南高速線に直通しており、ソウル方面へのアクセスを担っています。全羅線内で完結する列車は、一般列車のムグンファ号が上下線合わせてわずか3本のみ運行されています。旅客輸送に加え、貨物列車の運行も比較的多く行われています。

近年の最も大きな変化は、高速鉄道KTXの乗り入れです。2011年10月5日より全羅本線へのKTX運行が開始され、ソウルの龍山駅と終点である麗水エキスポ駅の間が約3時間40分で結ばれるようになりました。さらに、2012年5月1日には高速化事業が完成し、最速列車では所要時間が3時間23分まで短縮されました。全羅線内におけるKTXの最高運転速度は230km/hに設定されています。

2012年5月12日から8月12日にかけて麗水市で開催された麗水国際博覧会期間中は、来場者輸送のために臨時列車が増発され、特に下りKTXの1本は最速となる3時間2分で運行されるなど、その輸送力を最大限に活用しました。

廃止された駅

全羅本線の歴史の中で、時代の変化や路線の改良に伴い、いくつかの駅がその役目を終え、廃止されています。これには、電化・複線化によって廃止された春浦駅、路線移設に伴い役割を終えた徳津駅や松川駅、牙中駅、あるいは他の駅への統合により廃止された五柳駅などが含まれます。また、かつて存在した終点駅である麗水港駅や麗水埠頭駅も廃止されています。一部の旧線区間では、観光目的でかつての駅が再活用されている例もあります。

全羅本線は、全羅道の内陸部と沿岸部を結び、高速鉄道の運行により地域間の結びつきを強化する重要な動脈として機能しています。

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