湖南線

湖南本線（ホナムほんせん）

湖南本線は、韓国の大田広域市大徳区の大田操車場と全羅南道木浦市の木浦駅を結ぶ、韓国鉄道公社（KORAIL）が運営する鉄道路線です。この路線は、韓国の主要な幹線の一つであり、湖南地方（全羅道）を南北に縦貫しています。日本統治下の1914年に全線が開通し、その歴史は100年以上に及びます。

路線の特徴

湖南本線は、ソウル特別市の龍山駅（京釜線）から多くの列車が直通しており、首都圏と湖南地方を結ぶ重要な役割を担っています。しかし、京釜線と比較すると輸送量は少なく、KTXの運行開始後もその差は依然として大きい状態です。また、龍山駅から光州方面への一部の一般列車は、光州線の光州駅に乗り入れています。

開業当初、大田駅が起点でしたが、ソウルからの直通運転の需要が高まるにつれて、大田線の重要性が増しました。一方、本線であった大田駅から西大田駅までの区間の需要はほぼ無くなったため、KTX開業時に大田操車場を起点に変更し、大田駅から西大田駅までの区間は「大田線」という別の路線名に変更されました。現在、大田駅を発着する湖南線の旅客列車は設定されていません。

歴史

戦前

大韓帝国時代には、漢城（現在のソウル）から木浦までの鉄道敷設が計画されましたが、財政難のため実現しませんでした。その後、日本が京釜線を建設する権利を獲得し、その支線として湖南線が建設されることになりました。1914年に全線が開通し、これにより湖南地方の物資輸送が大幅に効率化されました。

1910年1月には、大田駅・連山駅間の工事を含む8つの工区が設定され、順次建設が進められました。1911年7月に大田駅・連山駅間が開通し、その後も群山駅と江景駅間、金堤駅と裡里駅（現・益山駅）間、木浦駅と鶴橋駅（現・咸平駅）間などが次々と開通しました。1914年1月11日に井邑駅と松汀里駅（現・光州松汀駅）間が開通し、全線が開通しました。

当時の湖南線は、大田駅で京釜線の釜山方面に直通する形で接続されており、京城（現在のソウル）方面へは乗り換えが必要でした。この鉄道の建設によって、公州、全州、光州といった従来の中心都市を外れて、新たな都市が形成されました。

戦後

京釜線では1970年代末から高速鉄道事業が議論されていましたが、湖南線は複線化が大幅に遅れていました。1978年に大田・益山区間、1985年に益山・井邑区間、1987年に井邑・長城区間が複線化され、1988年にようやく光州市の松汀里駅（現在の光州松汀駅）まで複線化が完了しました。松汀里・木浦間の複線化は2000年代に入ってからようやく完成しました。

2004年4月1日に湖南高速鉄道が開業し、湖南線にもKTXが運行されるようになりました。しかし、湖南線はカーブが多く、高速運転が困難であったため、龍山 - 木浦間の所要時間は約3時間半と、京釜高速鉄道のソウル - 釜山間（約2時間半）と比較して時間がかかりました。そのため、湖南線に並行する新たな高速新線（湖南高速線）が計画され、2015年4月2日に第1期区間が開通しました。これにより、KTXの大部分が高速線経由で運行されることになり、所要時間は大幅に短縮されました。現在、KTXが直接乗り入れる区間は、大田操車場 - 益山間（西大田経由の列車のみ）と光州松汀 - 木浦間となっています。

沿革

1911年7月10日：大田駅 - 連山駅間開通
1911年11月15日：連山駅 - 江景駅間開通
1912年3月6日：江景駅 - 裡里駅 - 群山駅間開通
1912年10月1日：裡里駅 - 金堤駅間開通
1912年12月1日：金堤駅 - 井邑駅間開通
1913年5月15日：木浦駅 - 鶴橋駅間開通
1913年7月1日：鶴橋駅 - 羅州駅間開通
1913年10月1日：羅州駅 - 松汀里駅間開通
1914年1月11日：井邑駅 - 松汀里駅間開通により全線開通
1925年6月5日：裡里駅 - 群山駅間が群山線として分離され、大田駅 - 木浦駅間は湖南本線に改称
1931年8月1日：多侍駅開業
1934年2月11日：明山駅開業
1935年6月1日：黒石里駅開業
1936年11月1日：西大田駅開業
1938年3月1日：三郷駅を一老駅に改称
1938年5月1日：務安駅開業
1939年5月16日：老安駅開業
1945年6月1日：川原駅開業
1953年7月25日：楚江駅開業
1953年11月15日：龍東駅、甘谷駅開業
1955年7月11日：臥龍駅開業
1955年8月21日：夫皇駅開業
1955年12月1日：元亭駅開業
1958年5月15日：彩雲駅開業
1959年6月21日：安平駅、玉井駅開業
1966年8月1日：新都駅、河南駅開業
1967年5月1日：彩花駅開業
1967年6月3日：多山駅開業
1970年1月16日：蘆嶺駅開業
1973年7月1日：北松汀信号所開業
1974年12月5日：彩花駅廃止
1978年3月30日：大田操車場 - 西大田駅間に連絡線が開業、同時に大田操車場 - 西大田駅 - 裡里駅間が複線化
1982年7月1日：井邑駅を井州駅駅に改称
1985年11月15日：裡里駅 - 井州駅間複線化
1987年12月4日：井州駅 - 長城駅間電化
1988年9月6日：長城駅 - 松汀里駅間複線化
1995年1月10日：井州駅を井邑駅に再改称
2001年7月10日：栄山浦駅廃止
2001年12月5日：明山駅廃止
2001年12月17日：松汀里駅 - 任城里駅間複線化
2003年12月9日：任城里駅 - 木浦駅間複線化、東木浦駅廃止
2004年3月24日：全線電化完成
2004年4月1日：京釜高速線開業に伴いKTX運行開始
2005年9月23日：豆渓駅を鶏龍駅駅に改称
2006年6月23日：新都駅、元亭駅、多山駅、新興里駅、玉井駅廃止
2018年7月1日：ヌリロ運行開始
2019年4月17日：鉄道路線番号が304に変更
2020年3月1日：ヌリロ運行終了
2023年9月1日：ITX-マウム運行開始

駅一覧

現在、湖南本線には多くの駅が存在しています。各駅には、全列車が停車する駅（●）、一部列車のみが停車する駅（▲）、全列車が通過する駅（|）があります。

廃駅

かつて存在したものの、廃止された駅は以下の通りです。

元亭駅
黒石里駅
新都駅
彩花駅
多山駅
新興里駅
玉井駅
栄山浦駅
明山駅
東木浦駅

出典

韓国鉄道公社公式サイト

関連項目

韓国高速鉄道
韓国鉄道公社
湖南高速線
忠清圏広域鉄道

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