八木正信

八木正信（やぎ まさのぶ）

八木正信は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、島津氏の家臣として活躍しました。別名として昌信とも呼ばれ、通称は新四郎、官位は主水佐、越後守を称しました。入道してからは嘉竺（宗栄とも）と号しました。

生涯

八木氏は日下部氏を祖とし、岩切氏、土持氏、海江田氏らと同族にあたります。正信は、青蓮院流の書家から書を学び、その才能を生かして薩摩国の戦国大名である島津義久の右筆（秘書官）を務めました。さらに、義久に書を指南する役割も担いました。また、真幸院吉田の地頭として2000石余りの知行を与えられ、領主としての側面も持ち合わせていました。

外交官としての才能も持ち合わせており、天正元年（1573年）には、稲荷社別当の宝持院とともに、禰寝重長に降伏を説く使者を務めました。天正12年（1584年）の沖田畷の戦いでは、島津家久に従い、肥前国島原へ祐筆役として渡海しています。さらに、天正14年（1586年）の豊後国攻めでは、大友家臣であった入田親誠への使者を務めるなど、島津氏の重要な外交局面で活躍しました。

天正15年（1587年）、豊臣秀吉による九州平定により島津氏が降伏すると、義久は秀吉に陳謝するために剃髪して入道しました。この時、正信もまた剃髪し、嘉竺と号して義久に同行し、秀吉との対面に同席しました。

没年は明確にはわかっていませんが、大隅国の富隈にて病死したとされ、その日は7月17日です。天正17年（1589年）5月には義久へ起請文を提出していることから、亡くなったのはその年以降であると考えられています。法名は隣松城徳庵主と伝えられています。

人物像

八木正信は、武将としての能力だけでなく、書家としても高い才能を持ち合わせていました。また、外交官としても活躍し、島津氏の重要な局面で使者として奔走しました。文武両道に秀でた人物であったと言えるでしょう。

参考文献

『本藩人物誌』 鹿児島県史料集（13）（鹿児島県史料刊行委員会）
『「さつま」歴史人名集』（高城書房出版）ISBN 4-924752-28-2

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