八木西口駅

近鉄八木西口駅：大和八木駅との複雑な関係と将来展望

近畿日本鉄道（近鉄）橿原線にある八木西口駅は、奈良県橿原市八木町に位置する地上駅です。駅番号はB40。この駅は、近鉄大和八木駅と同一駅（構内）として扱われるという、全国的にも珍しい特徴を持っています。その歴史と現状、そして将来展望を詳しく見ていきましょう。

独自の駅扱いと歴史的経緯

八木西口駅は、1923年の大阪電気軌道畝傍線（現在の橿原線）延伸時に「八木駅」として開業しました。その後、八木線（のち大軌桜井線、現在の近鉄大阪線）の延伸に伴い、両線の交差地点に新駅（大和八木駅）が設置され、「八木西口駅」に改称されました。この際に大和八木駅との同一駅扱いという特例が生まれました。これは、大和八木駅が旧八木駅の移転先であり、旧八木駅を八木西口駅として存続させたためです。

この同一駅扱いは、旅客営業上、大和八木駅との間で営業キロが設定されておらず、運賃も大和八木駅発着と同額であることを意味します。しかし、乗車券の購入方法によっては、自動改札機を通過できないケースもあります。例えば、大和八木駅の自動券売機で購入した近距離券では八木西口駅の自動改札機を通過できません。一方、窓口で購入した区間指定式の乗車券であれば問題なく通過可能です。また、八木西口駅と大和八木駅間のみの乗車には、自動券売機で購入した初乗り運賃の乗車券が利用できます（ただし入場券は不可）。

さらに、過去には時刻表や発車標に駅名が記載されていなかったり、八木西口駅で発行された乗車券の発駅が「大和八木」と印字されていたりと、様々な特例がありました。これらの状況は、近年の改善により、多くの問題は解消されています。

奈良県立医科大学附属病院新駅設置計画と八木西口駅の将来

八木西口駅と畝傍御陵前駅間の奈良県立医科大学附属病院付近に新駅設置が計画されていることが、八木西口駅の将来に大きな影響を与えました。当初、近鉄側は新駅設置の条件として八木西口駅の廃止を主張していました。しかし、地元自治体や奈良県との協議を経て、2022年には近鉄が八木西口駅の廃止を条件としない方針転換を発表しました。そして、2022年11月には、新駅設置と周辺地域開発に関する協定が締結され、八木西口駅の存続が確定しました。この合意により、八木西口駅は新駅と共存することになります。

駅構造と利用状況

八木西口駅は、相対式ホーム2面2線の地上駅で、駅舎は地下式です。ホーム有効長は6両分、改札口は2箇所、エレベーター2基を備えています。この駅には、旧八木線時代の名残である、橿原線から大阪線へ繋がる単線の連絡線があります。この連絡線は、現在では回送列車や団体貸切列車などが利用しています。

近鉄による乗降人員調査では、八木西口駅の乗降人員は大和八木駅に含めて集計されており、単独での乗降人員は公表されていませんが、報道によると1日の利用者数は約5,000人です。

駅周辺環境

大和八木駅と八木西口駅の間は徒歩で約5分程度の距離にあり、駅勢圏はおおむね重複しています。駅周辺には、橿原市営駐輪場、歴史的な町並みである今井町、春日神社、八幡神社などの史跡、寺院などが存在します。

まとめ

八木西口駅は、大和八木駅との複雑な関係、新駅設置計画、そして歴史的な経緯から、近鉄線の中でも特異な存在です。その歴史と現状を理解することで、この駅の持つ独自性と、将来展望をより深く知ることができます。近年の発展により、アクセスや利便性が向上し、今後も地域住民にとって重要な役割を果たしていくでしょう。

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