公共電視文化事業基金会

台湾公共電視文化事業基金会（PTS）の概要

台湾公共電視文化事業基金会（PTS）は、台湾における公共放送を担う財団法人です。一般には「台湾公共テレビ」として知られており、台北市内湖区東湖に本部を置いています。中華民国文化部の監督下、公共テレビ法に基づいて運営されています。民間の放送局と比較すると、視聴率は比較的低い水準にあります。

財源と運営

PTSは、受信料を視聴者から徴収するのではなく、主に中華民国行政院からの交付金と自主財源によって運営されています。行政院からは年間約41億円（2023年レート換算）の交付金を受けていますが、制作費の不足は常態化しており、2024年からは交付金の上限撤廃が決定。毎年の業務計画に基づいた交付金支給体制に移行しました。

自主財源は、企業からの協賛金と個人からの寄付金が主な柱です。企業協賛では、番組の最後に協賛クレジットを流す方式をとっており、協賛金額によって放映時間帯が異なります。高額な協賛金であれば、ゴールデンタイムの番組最後にクレジットが流れるなど、企業にとってメリットのある仕組みが構築されています。さらに、公式サイトや後援会会報への広告掲載も重要な収益源となっています。

個人からの寄付は、「公視の友」という後援会を通じて募られています。寄付額に応じて「賛助会員」や「栄誉会員」といった会員制度も設けられています。

歴史

PTSの設立は、1980年代初頭の行政院長孫運璿による公共放送局設立提案に端を発します。その後、1984年に行政院新聞局が「公共電視番組制作小組」を設立、中国電視公司で試験的に番組を放送するなど、段階を経て設立に向けた準備が着々と進められました。

1991年には「中華民国公共電視台準備委員会」が設立され、「公共テレビ法」の成立を目指した取り組みが本格化します。1997年に「公共テレビ法」が成立すると、翌1998年7月1日、公共電視文化事業基金会が正式に設立され、放送を開始しました。

以降、地上デジタル放送への移行（2004年）、台湾公共放送グループへの参加（2006年）など、台湾の放送環境の変化に合わせて、PTSも発展を続けています。過去には、放送番組における政治的発言をめぐる問題もありましたが、これらの経験も踏まえて、公共放送としての役割を担っています。

チャンネルと主な番組

PTSは、主に以下のチャンネルで放送を行っています。

公視（主チャンネル）
公視台語台（台湾語放送）
* 公視3台（PTS3）スポーツ、教養、外国語番組など

番組内容としては、スポーツ中継（メジャーリーグ中継など）、ドラマ、教養番組などが放送されています。以前はNHKのドラマなどを放送していましたが、近年は英国やアメリカのドラマを多く放送する傾向にあります。

姉妹局

PTSは、世界各国の公共放送局と姉妹局提携を結んでおり、国際的な連携を積極的に行っています。NHKとの共同制作番組なども制作実績として存在しています。

まとめ

台湾公共電視文化事業基金会（PTS）は、政府からの交付金と自主財源によって運営されている公共放送局です。視聴率は低めですが、台湾の多様な文化や情報を伝える重要な役割を担っています。財政面での課題を抱えながらも、国際的な連携を深めながら、公共放送としての役割を果たし続けています。今後の更なる発展と、安定的な財源確保が期待されます。

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