公孫喜

公孫喜の生涯と戦績

公孫喜（こうそん き）は、中国戦国時代の魏において、襄王と昭王に仕えた著名な将軍である。彼の出身は陽晋、現在の陝西省の渭南市にあたる。公孫氏という姫姓の家系に生まれた彼は、またの名を犀武とも呼ばれ、歴史上の重要な役割を果たした。

経歴

垂沙の戦い

公孫喜が歴史の舞台に登場したのは、襄王18年（紀元前301年）のことだった。この年、斉・魏・韓・秦の4カ国は連合を組み、楚に対して攻撃を仕掛けることになった。戦の舞台となったのは、垂沙、現在の河南省南陽市唐河県である。この戦いの指揮官は、楚の唐眜が務めていた。

連合軍では、斉が匡章、韓が暴鳶、秦が庶長の奐を派遣。その中で、魏は公孫喜を将として選んだ。連合軍は半年間の対陣の後、遂に楚軍を打破し、唐眜を討ち取ることに成功した。連合軍は、その勝利を利用して、楚の領土に侵攻し、宛と葉の北部にある土地を韓と魏の両国に奪われることとなった。

伊闕の戦い

続いて、公孫喜の運命を大きく左右したのが、昭王2年（紀元前294年）の伊闕の戦いである。この年、秦の左庶長・白起が韓の新城を攻め落とし強大な勢力を誇示する中、魏は韓と同盟を結び、更には東周をも引き入れ、再度公孫喜を指揮官として任命した。

昭王3年（紀元前293年）、連合軍は伊闕、現在の河南省洛陽市において秦軍に挑もうとした。だが、白起は連合軍の弱点を見抜き、巧妙な戦術でこれを迎撃、結果的には連合軍を打破することに成功した。公孫喜は、総勢24万の敵将兵を倒し、伊闕と五つの土城を獲得するも、彼自身は捕虜となってしまった。この戦いは、公孫喜の軍事的才能と、その結果の厳しさを象徴する出来事となった。

公孫喜の生涯は、戦国時代の権力争いや軍事戦略の中で陰影を持っている。彼の活動を通じて、当時の中国の政治情勢や戦争の様子が窺える。彼についての記録は、司馬遷の『史記』や司馬光の『資治通鑑』、また劉向の『戦国策』などに残されており、今なお多くの研究者によって取り上げられている。公孫喜の名は、将軍としての評価と共に、魏の歴史の中で重要な存在であり続けるだろう。

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